あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

RuPaul’s Drag Race Season13 ep12"Nice Girls Roast"感想

*このブログは多大にネタバレを含んでいます。ネタバレしたくない方はここで引き返すか、以下WOW Presents Plusのリンクから本編を見てから読んでください*

 

 

 

 

I'm watching Nice Girls Roast on WOW Presents Plus http://www.wowpresentsplus.com/videos/nice-girls-roast

 

 

 

 

 

今週はRoast!なんて言えばいいんだろう、いじり場?特定の人をお題にして、その人をいじってみんなで笑い物にしちゃおう!というチャレンジで、からかったり茶化すのはOKだけど誹謗中傷悪口はだめ、でもその境目ってどこにあるんだろうね…?って考えさせられる難しいチャレンジです。最近スタンダップコメディだったり、ローストだったりと、一人喋りお笑い系がレースの終盤に置かれることが結構多い気がするのですが(多分一人ずつの尺が結構長く必要なので序盤には置けないんだと思う)これが結構共感性羞恥心を誘発する、しくじってるところを見るのが非常に居た堪れない感じのチャレンジなので、個人的にはあんまり得意じゃないチャレンジなのですよね…悪口にならないようにうまくいじらなきゃいけない、他の人と被らないようにしないといけない、と、大変なことを求められてるなぁと思うのですが。


ロースト対象者が過去のミスコンジニアリティで、久々に見られて嬉しい〜!という気持ちと、三人三様の振る舞いで嬉しかったです。ハイディは絶対ここであの決め台詞を言うぞ…!と思ったところで言ってくれて気持ちよかった〜w


乗るか反るかが非常に大きいチャレンジで、今回も案の定、安心して楽しく見られる人と、あああ…って目を覆いながら見る人とに分かれましたね。今回この二人はまあ安定かな?と思っていた二人、キャンディとロゼがミニチャレンジでオーダーの決定権を得て、自分たちも自分たちがわりと出来る子なのを理解していて、他の人たちもできるだけ順番由来でやりづらくなって失敗することがないように、全体として一つのショーがうまく回るように、と意識して、一番みんながやりたがらない最初と最後を率先して持っていっていて、プロ意識高い!と感銘を受けました。そして二人とも本当に面白かった!!!


一番手で幕開けを危なげなく飾り、場を盛り上げつつ、最後まで印象が薄れることなかったキャンディ、お見事でした。私は「ジャッジの批評を待ってる瞬間ってクリニックで性病検査の結果待ちしてる時と同じ怖さ!一個くらいはポジティブ(=陽性)でてくるかねぇ〜」って自虐が最高に好きでした。

ロゼも最後はちょっとやだなぁ〜と言いつつリスク取っていかないとね!とアンカーを引き受けて、しっかり沸かせていて格好良かったです。今回に限らないですが、ロゼはワークルームなどでの受け答えの返しが早い、クレバー、ちょっと毒を混ぜつつ面白いの三拍子で素晴らしくて、こういうチャレンジだとその賢さが発揮できてよいなぁ〜!と思いました。一人だけメモ書きなし、というのが賞賛されてましたが、それ以上にミスコンジニアリティたち一人一人とコネクトしながら進めているのがとても良かったです。

今回チャレンジが発表された瞬間に「一番やりたくなかったやつ〜…」とシブい顔をしていたゴットミク、本人は浮かない表情でしたが順番決めの段階で出来る子と判断されゴットミクは真ん中ね、と中堅の大事な位置に配置され、おや自己評価と他者評価が違うのかな、どう転ぶかな?と思っていたのですが、面白かった〜!!ロスマシューズはポルノ見てるとき、デリバリーピザが届いた瞬間に達する、ってやつすごく好き。


シモーンは、プロモ時点でファッションクイーンかな、コメディはどうかな…?と感じていた第一印象に反して、コメディ系アクティングチャレンジとコメディ系CM制作のチャレンジで勝っているので(スナッチゲームもよかったですし)、今回はどうかな…?と思っていたのですが、表情だったり言葉の言い回しのニュアンスでの面白さの表現は得意でも、面白いことを考えて話すっていう筋肉はまた別物なのだなぁ…とローストの難しさを痛感しました。緊張が目に見えて痛々しかった〜…

ユーティカは逆に、この子何か面白いことやってくれそう!という印象を最初は持っていたのですが、ここまでのコメディチャレンジではほぼ全部、本人の思う面白さが周りの受け取る面白さとズレていて、滑ってしまう…という展開で、今回も同じようになってしまいましたね…ミシェルとロニにネタ見せをしてる時点で「それはよくない」と言われていたので、それを真剣に受け取って適用させて欲しかったなぁ、今までコメディチャレンジで自分が受けてきた低評価を鑑みて、自分のアイディアに固執するよりも人からどう見られているか、どう評価されているかのフィードバックを大切にしてほしかったなぁという気持ちです。でもルーに立って!って言ってのける度胸と、そこから引き出されたダブル中指!今シーズン最大の爆弾だったのでは!?あの瞬間に会場に走った緊張感とキャンディとゴットミクのやばいよあの子何言ってるのどうなんのこれ、って怯えた表情込みで大笑いしました。いやーすごかった。ロックだね!!!ロニラブ先輩に「コメディのキャリアはひどいもんね」って刺したら(ジョークとして笑えないしローストとして良くないんだけど)「今駄々滑ってるのアンタのほうなんだけど!!」って返されたのも、結果的にユーティカの酷さとゲストの機転を映せて面白くなったと制作側はガッツポーズだったのではないでしょうか。グッドテレビジョン。

(もう一つしっかり書き残したいことがありますがとても長くなるのと、過去の自分の書いた記事を引用したいので、もう少し下にまとめます)

オリヴィアはなんだかカマトト可愛子ぶりっ子毒舌キャラで切り抜けようっていう作戦、なんか小学生がいじわる言ってやったぜ〜!って粋がってる感じのバイブスで、終始可愛かったです。あざとい!ずるい!

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今回ランウェイがなくて少し寂しかったですが、ある意味ランウェイ加点減点無く、メインチャレンジ一発評価だったのでわかりやすくて良かったかもしれませんね。初ウィナーになったキャンディ、念願の勝利でキャンディ本人ももちろん喜んでいましたが、周りもとても祝福してるのが伝わって私も嬉しかったです。ボトム2は本人たちも予想していた通り、そして視聴者もまぁそうなるだろうね、と思った通り、シモーンvsユーティカのリップシンクで。二人とも表情のバリエーションが豊かなので動きに派手さが無くてもなんだか華やかなリップシンクで良かったです。この局面まできちゃうと、win4つ・ボトムでのリップシンク2回目の人と、win1つ・リップシンク3回目の人だと、よっぽど差をつけた良い表現を見せないと後者が勝つのは難しいですよね…


ユーティカ、実はシーズン開始時点では、うまく条件が揃えばTOP4まで行けるポテンシャルがありそうだな、と思っていたのです。常に新しいものを求めているドラァグレースの世界なので、持っている新鮮な世界観を上手にアジャストして成長を見せられれば可能性はあるな、と、あんまり他のコンテスタントと比較するのはよくないですが、イヴィやクリメシちゃんのような評価のされ方で残るかもしれないと想定していました。そうでなくても私を含めて、番組ファンは新しいワクワクを求めている人が少なくないので、きっと人気は出るだろうな、もしかしたら後半まで残ってソージーやカティアみたいに惜しいところで帰るパターンかもな、みたいな。

ドラァグレースって、それぞれ持ってきた綺麗な石をどう磨いていくか、みたいなレースじゃないですか。ほぼ原石状態だったのをピカピカに磨いていくパターンもあるし、もうすでに綺麗な宝石に近い状態で来て、磨くところないからもういいやって帰されるパターンもあるし。ユーティカは本当に面白い石で、部分的にピッカピカで、部分的にゴツゴツで。でもそのゴツゴツした部分を本人が磨いていく方法がジャッジの求めていたそれとズレていたかな、というのが一つ。あと宝石って光の当て方で印象が変わるじゃないですか、それが本人の思っていた形と、番組の編集の仕方と、もしかしたら視聴者が受け取っていたものとの間に、それぞれ差があったんじゃないかな、と思いました。

ユーティカの魅力って、柄on柄のファッションだったり、綺麗に纏めすぎないところだったり、人によっては悪趣味と取りかねないギリギリのところまで攻めるところだと思うんですよね。中庸がなく、好き嫌いが結構分かれるテイストかなぁと思います。それが今回のローストでとっても悪い形で現れてしまって、本人はギリギリまで攻め込んでるつもりで、踏み越えてはいけないラインを越えてしまっていたのかなと。残念なことにリハーサルの時点で警告はされていたし、もっと言えば以前リーディングチャレンジの後のuntuckedで「食事の時にリーディングで披露する予定だった悪口をこんなのがあったんだよって暴露してきたけど、あれは雰囲気を悪くするだけだったよ、よくなかったよ」って指摘されてましたよね、あの忠告をちゃんと心に刻めていたらもう少し違ったんじゃないかな、と思ったんです。

今回、ローストの中にボディシェイミング…体型を揶揄するようなものがあったということで炎上していて(練習で止められたのに本番で言ったのもまずかったし、練習で止められた時にロニに「あなたもこれがトリガーになっちゃったりする〜?」って煽ったのがとても良くなかったですね…)私は過去のs11のリーディングのことを思い出しました…私は割とこの時の気持ちと今回も同じ感情なので、このときのレビューもめちゃくちゃ長いんですけど、参考までリンク貼りますね。文末の方にミニチャレンジの件としてまとめてあります。

 


https://akzkiss.hatenablog.com/entry/ne622ff47c3fd

 


まとめると、人種や体型、国籍や宗教などについて差別するのは絶対に良くないというのは大前提で、でもリーディングやローストという悪口を言うのが許されている場であればネタにされるのはある程度許容されるのではと思っている。直接的に鯨に例えてバカにするのはアウトだけど、あなたはオリンピックじゃなくてスタジアムね(アメフト選手みたいな立派な肩だって揶揄している)って言ったり、ステージの役だったんだよね(体がでかいことを揶揄している)って言ったりはセーフだったりと、線引きが結構難しいので、そこを放送していいラインがどうか判断するのは番組制作側の役目かなと。そして今回は本人もあれは良くなかったって謝罪して、言われた側もそれを受け入れているので、あとは外野としては、そういう発言をする人は他がどんなに素晴らしくても応援出来ない、って考えるか、悪意があったわけじゃないと信じるし他が素晴らしいからこれからも応援する、って考えるか、それぞれ受け止めればいいことだと思うんです。その上で前者の差別発言は容認できないという人が、あれは差別発言だ、無理、あれで傷つく人もいるしよくない、ああいうのを言わない世界にしようよって自分のTwitterとかで言うのは尊重されるべきだし表に出すべきステートメントだと思うんですけど、本人にDMしたりメンションつけてリプライするのは違うと思うんだよなぁ…個々人でキャンセルするのは自由だけど、みんなでキャンセルしようぜ!っていうのはちょっと違うかな、というか。本人の見えるところでやらなくてもいいんじゃないかというか…

こういった炎上に対して番組側はなにも対処してくれないのはもう過去のケースからわかりきってるので、だったら放送する前の編集時にもうちょっと考えてくれないかなぁ…という2年前と同じ気持ちになりました。なんかもうちょっと上手くできなかったのか。

前回の渦中だった人がそんなに元々好感度高くなかったのに対して(酷い)今回ユーティカに対してはこのシーズンでも1、2位を争うほど応援しているクイーンだったので、だから余計にガッカリしている部分もあり、だから甘く見てしまってるかもしれないと思ってしまう自分もあり、とても複雑な気持ちです。こういうのはもう、自分のやるべきことをやり続けることでしか誠実さを証明できないと思うので、人よりも厳しい目で見られるのを受け入れながら、この番組出演で手に入れた知名度を、正しいこと…全ての人が生きやすい世界にするために力を与えるような表現を産み出すことに使って、それを続けて欲しいなぁと思います。


ユーティカについてはもう一個書いておきたいことがあって、ランウェイやメインチャレンジの時に結構メガネで出てきてくれていて。メガネでもこんなにスタイリッシュ&チャーミングにオシャレできます!って打ち出してくれたの、私めちゃめちゃ嬉しかったんですよね。インスタの写真では外しちゃったりしてるんですけどwぜひそこは世界中のメガネラバーのためにこれからもいいメガネファッションを打ち出して欲しいなぁと思います。差分で載せてくれるのでもいいので…


来週、いよいよTOP5!最終チャレンジになると思うので、久々に歌って踊る系かなと期待していたのですがアクティングチャレンジのようですね。なぜ…(まあフィナーレで散々リップシンクすると思うのでいいのかな…)でもワクワクしながら待とうと思います。