あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Canada's Drag Race Season3 episode9 "True North Strong (and Fierce)"感想

フィナーレ回は皆最後の力を振り絞ってパフォーマンスしてくれるし、今までの総決算のようなランウェイを見せてくれるし、ジャッジも基本的に褒め言葉ばかりで総括してくれるので、基本的にハズレのない回だと思っているのですが、いいフィナーレだった〜。昨シーズンが自分にとってかなり思い入れが強いので、シーズン通してで比べてしまうと少し物足りない部分も正直ありましたが(ごめんよ〜!)でも序盤にドラマ重視か!?なんて感じたのが嘘のように、最終的にはまとまったシーズンだったなぁと思います。

 

 

 

 

I'm watching True North Strong (and Fierce) on WOW Presents Plus
http://www.wowpresentsplus.com/videos/cdr-309

 

 

 

 


カナダの大好きなところが、ファイナルチャレンジ直前に昨シーズンのウィナーを呼んで一緒にフォトシュートをやってくれるところで。昨シーズン王者のアイシスは今までの全フランチャイズの中でも最短の期間で冠を譲ることになったのですが、最後にこうやってはなむけのような、区切りの儀式を入れてくれてくれることは本当にありがたいことだなぁと思います。アイシス先生、全員のことを労って褒めてくれるの嬉しいんだけど、やっぱり特にドラァグドーターのキミーちゃんとの再会に興奮しているところを見て、グッときてしまいました。貴方も私みたいに本来シャイな人間だって分かってる、だからとっても頑張ったよね…って普段から見てくれている人が言ってくれることがどれだけキミーちゃんの力になることだろうか、ドラァグファミリーと頂点の近くでこうやって出会えるって本当に稀有で素晴らしいことだなって思いました。この時のフォトシュートが初めての公式な二人のツーショットっていうのもまた…!

あとジゼルとの写真のポージングの時にアイシス先生の膝がやばそうだったの、声出して笑ってしまった。膝節(ひざぶしとは?)が健在で何よりです。どうか大事にしてあげてください。


ブルックリン先輩のお歌に合わせてのパフォーマンスもとても良かった。ルポール御大の曲を使わなくても成り立つその時点でカナダブランドがきちんと定着したという表れだと思っています。当たり前のように全員素晴らしかったんですけど、True, North, Strong and Fierceという毎回番組最後に言われていた言葉が曲のタイトルなの、痺れる〜!と思いつつ、一人歌詞の中に名前がさりげなく入っているフィアサリシャスちゃんの運の強さよ、これも天の采配か…とか思ったりもしました。後から思うと全然気のせいだったんですけど。いやでも一人ずつ「True」「North」「Strong」「Fierce」のラップパートを割り振った際に、フィアスちゃんにFierceが来ていたら勝ち確定すぎたよね、だからきっと外したんだよね…


そう、私今回一番の驚きがフィアサリシャスちゃんがTOP4からファイナルリップシンクの2人に絞る際に選ばれなかったことなんですよね。たまに「シーズンの顔」みたいな、その人を好きになれるか好きになれないかで見進めていて楽しいから楽しくないかを決めてしまうような強烈なキャラクターのクイーンが出てくることがあると思っていて(個人的意見ですが。s13はそれが上手くいった例、s11はそれがハマらなかった例だと思っています)私にとって序盤でドラマを作りつつシーズンを通しては大きな成長を見せてくれたフィアスちゃんがそれだったので、もしフィアスちゃんがここまで来てウィナーにならないのであれば、制作側およびフィアスちゃん本人がシーズンの結末によって多少炎上した際に受け止めきれないと判断したということか、今後オルスタが視野に入っているかの二択かなぁとすら思っていました。だって成績的には引けを取らない素晴らしさだし、ランウェイもずっと安定して良かったんだもん(序盤の自作衣装を除いては…何度でも言うけどep1はボトムにならなかったことをびっくりしたが…)このシーズンを一番良くも悪くも盛り上げてくれたフィアスちゃんが報われないのは少し悔しいよなぁ、という気持ちもありつつ、これだけテレビ的に美味しいキャラクター(本当前半はフィアスちゃんのドラマ力で進行していた!良くも悪くも!)は制作側としては逃さないと思うので、オルスタとかでさらに成長した部分を見せて、さらに人に愛されるような形で活躍してくれたらいいな〜と願うばかりです。


そんなフィアスちゃんに替わって…替わったわけではないのだけど…成績的には少しだけ後ろにいたけれどここでファイナルリップシンクまで歩を進めたジェイダ。フィアスちゃんが進めなかったことはびっくりしたけど、ジェイダが進んだということにはそこまでびっくりしなかった、というのはある意味矛盾しているかもしれないんですけど、でも今回のファイナル回のフォトシュートとメインチャレンジのパフォーマンスで自分は誰に最高得点を出すか、って言われたら、私はジェイダを選んだので、そういう意味では驚きがありませんでした。本当パフォーマンスしている時のハッピーなオーラがすごくて、もっと動いてるところを見せて!って思わせる随一の輝きがあると思います。バルバドスにいる親御さんにはまだ自分のパフォーマンスを見せたことがない、とか、s1の時からジェイダこそドラァグレースにでるべき、みたいに周りからの期待の声が大きかったとか、2021年春に66歳で亡くなられた、ジャマイカ出身でトロントで名を馳せたドラァグクイーンのミシェル・ロスさんからも「ドラァグレースに出たクイーンより貴方のパフォーマンスのほうが見たい」と言われたとか、すごく抱えるものが多い中で、そういう重さを感じさせずパフォーマンスに圧倒的な陽のパワーでガツンと黙らせてくれるところ、本当にすごいなぁと思います。いいときも悪い時もすぐ泣いちゃう素直な性格がパフォーマンスに滲み出て人の心を捉えるのかなぁ。ファイナルリップシンクもとても情感溢れる良いパフォーマンスでした。


一番心情的に応援していたのはキミーちゃんだったのですが、ファイナリストにはなれないかもな、と何となく予感していたので、発表もストンと受け止めることができました。パフォーマンスはいつも通り迫力のあるダンスで黙らせてくれて最高だったんだけど、やっぱりここまでの成績と、ランウェイでずっと持たれていた「キミーちゃんのよく着る形」の印象を最後まで意外性で更新できなかったのがもったいなかったかなと思います(ミニチャレンジのシックな色のガウンが今までになく大人っぽくて素敵だったので、ファイナルランウェイと逆でも良かったかもしれない…!ちょっと肩あたりのサイズ感が大きめで、着られてしまっている感が少し出てしまっていたかなと思いました。華奢な体が強調されて素敵ではあったんですけれど…)何でか辛口採点されがちで最後までなかなか残れないジンクスすら感じてしまうアジアンクイーンで、カナダでは初めてになる出演時点でトランスジェンダーと公表しているクイーンで、しかも昨シーズンの覇者であるアイシスドラァグマザーで…たくさん応援したくなるような要素があった分、その重圧も凄かっただろうなぁと思うのですが、常に軽やかにチャレンジに向き合い、内心にあるシャイな部分を強気な言動に隠して、同じ境遇の人の助けになるかもしれない、と辛い過去を勇敢に語って、ここまで残ってくれて本当に嬉しかったです。ずっと、強くて美しいアジアンクイーンが活躍し、正当に評価されることを待っていたので、本当輝ける星のような存在でした。そして個人的には今シーズンのコンフェッション大賞が彼女なのですよね、しれっとキツイことを言っても憎めない感じで、キミーちゃんがコンフェッションでクールな表情を崩さずにツッコミを入れるのを見るのが本当に楽しかったです。ちなみに一番好きだったのが同じ布ソーイングチャレンジの時に「フィアスが必死でバトって欲しい箱ゲットしたのに、中身が全員おーんなじ!ウケるギャハー!」ってブフゥ!って笑っているところです。強いギャル、最高。


そしてウィナーになったジゼル…!おめでとうございます。シーズン通して比較的安定した成績だった中、唯一ボトム2になったのがルージカル回で、歌も踊りもそんなに得意というわけではない…のに最終チャレンジはバッチリ決めていたのに短期間での成長のようなものを感じられてすごいなぁとしみじみしました。あとはやっぱりスナッチゲームで勝ったのが大きかったのと、今シーズン3回もあったデザインチャレンジで一度も悪い評価がなかったのが効いていたかなぁと思います。成績および普段の振る舞いからするとかなりウィナーに近い位置にいるかな〜とセミファイナル時点で思っていて、危なげない決勝進出でしたが、ウィナーになる際に、カナダにおいて少し特殊な位置付けにあるフランス語を公用語とするケベック州のフランス系カナダ人ということがどう作用するかどうか私自身がちょっと読めなくて、このままウィナーに手が届くのかなどうなのかな?と見守っていたのですが、初めてケベック州に王冠をもたらすことになり、これは一つの節目になるだろうなぁ、と感慨深く思いました。s1はインド-ガイアナ系のプリヤンカ、s2はエルサルバドルにルーツがあるアイシスが勝利し、移民大国であり多様性こそがカナダらしさで、ウィナーも毎シーズン全然違った文化の人が選ばれているのが面白いな、という印象なのですが、またここで違った文脈でのカナダらしいクイーンの戴冠を迎えられて嬉しいなぁと思います。英語圏ドラァグレースで、英語が第一言語じゃないクイーンが勝つのって相当珍しいよなぁ、本当に頑張ったんだろうなぁ…


フィナーレの華といえば全員がランウェイに戻ってきてくれることで、これもまた皆良かった!ティーザーの時点で拍手していましたが、ハラールさんの刺繍の美しいパレスチナの民族衣装をベースにしたSTOP  DISPLACING USという強いメッセージが書かれたドレスの素晴らしかったことよ!もともとなんちゃってアワードチャレンジのために用意したドレスだったとのことですが、フィナーレ用に用意していたドレスよりもこれを見せたいと思ったということで、本当にその判断に感謝します…。

ミスモスは黒の飾りの少ないガウンですっきりと纏めていて、もともとメイクのミニマルさが最高にかっこいいと思っていたので素晴らしいバランスだなぁと思いました。

シェラゾンちゃんのヌーディなくすみピンクのコルセットドレスも素敵だった〜ああいうワントーンですっきりまとめるコーディネート大好きです。

カオスはボンデージ風でスタッズのついたハードなドレスで、このパンクロック感のある感じが好きなんだよなぁと改めて感じました。

ブンブンちゃんはやっぱり私にとっての今シーズンのファッションクイーンで、甘すぎず、セクシーだけどクラス感のある衣装がとても良かったです。スイートなお顔なのにちょっとヒール感あるというか、ちょっと毒のある感じのまとめ方がいいよね。

そしてもう一人のファッションクイーン、ボンベイちゃんのルックもすごかったですね…!王冠の形のドレスでクラウニングルックにぴったり、というだけでなく、世界最古のダイヤモンドと言われるインドで発見されたコイヌールという105カラットのダイヤモンドがあるのですが、イギリスに所有権を奪われ、女王の王冠を飾ることになったという経緯がある、まさにそのダイヤのついた王冠を模したドレスなわけですよ…!インド出身のボンベイちゃんがこのドレスを着るというステートメントもすごいし、何よりこれを着たフィナーレが放送されたその日にこの王冠の所有者であるエリザベス女王が亡くなったという事実に軽く鳥肌が立ちます。運命的…。

アルマは振袖のような豪華な袖が印象的なドレスで、エレガントで素敵だな〜と思っていたら予定していたドレスの一部が配送トラブルで届かず、お茶会チャレンジ用に用意していたドレスを代わりに着たということで、このドレスもとても良かったけど最初のプランの衣装も見たかったな、将来的にどこかで…オルスタとかで…見られたらいいなと願っています。

ヴィヴィアンのおっきなリボンがウサギちゃんみたいなガウンも可愛かった…いつもキャンピィなルックが魅力的だったヴィヴィアン、最後までキュートでどこか親しみやすさがある、でもゴージャスなルックで、らしいなぁ〜と思いました。


ブルーのドレスが肌に映えて今までで一番エレガントに見えるフィアスちゃん、ウィッグも含め明るいミントグリーンでまとめて妖精のような軽やかさのキミーちゃん、茶色に近いボルドーの布地に赤の刺繍が美しい上品なガウンをまとったジェイダ、ボリュームのある袖とクリーンなラインのガウンにウィッグのシャープさが印象的なジゼル…ファイナリスト4人を含め、12人とも本当に素晴らしいファイナルランウェイだったと思うんですが、でも譲位にやってきたアイシス先生のルックの容赦のなさに大爆笑してしまいました。今シーズン出てきたドレスの中で一番デカくて一番派手だったのではないだろうか。あと数分でウィナー交代なのに最後に全部持って行くの、そう来なきゃ!って感じだし、大好き。


今回冒頭で、一番多様性のあるファイナリストだよ!って話になっていましたが、もちろんファイナリスト4人だけでなく、多様性のあるバックグラウンドの人たちが12人も集まってそれぞれが素晴らしいパフォーマーであることを尊重しあっていたのが軽くuntuckedで話しているだけでも伝わってきたので、本当はコンテスタントたちが労い合う場としてのリユニオンがあったら嬉しいなぁと思うのですが…まあs1はs2開始直前に一年越しにリユニオン特番をやってくれたりしてたので、もしかしたらどこか未来でそういうことがあるかもしれない。ミスコンジニアリティを決めるとしたら誰になるのかしら、何か表に出てないドラマがあったりするのかしら、またFさんの独壇場になったりしてしまうのかしら…と、あるかもしれない未来の再会を楽しみにしています。


何度も何度も予算がないのかな…?と邪推してしまったこのシーズンでしたが、昨シーズンはあったリユニオンがなく一話削った全9エピソードで完結することになり、やはり…という気持ちをまた強めました。フランチャイズはシーズン2までは保証されている、という説を聞いたことがあるのでs3で新たに契約料がかかったのかな、とか、s2ツアーがコロナの影響で年始から6月に延期されたことでキャンセル費の追加出費やチケット収入が入る時期がズレて支出バランスが崩れたのかな、とか、今年カナダvs世界も放映することになってそっちに予算が回ったのかな、とか、色々邪推したりしているのですが、まあそれはさておきコンテスタントたちは足りない部分を補うかのごとくに本当に頑張ったと思います。予算もそうなんですけど、s2が終わったのが去年の12月で、応募期間が11月〜12月だったs3が始まったのが7月でしょ、制作期間も短かったわけだから、収録期間もそれに伴って短かっただろうし、準備期間も短かっただろうし、その中であれだけのクオリティの衣装を見せてくれたのが本当にすごいなぁと思います。本当ランウェイの課題設定とそれに応える皆の持ち込み衣装が毎回素晴らしかった、クイーンたちとそれを支えた人々に一番賞賛を送りたいです。

 

s4はあるのかな、予算が厳しいのなら、なんなら2年に一回とかでもいいので、きちんとお金と時間をかけて、いいシーズンをまた作ってくれたら嬉しいなぁ〜と思います。まずはこれから年末までに来るCanada VS the Worldに期待してます!(こっちは予算不足を感じることがありませんように…!)