あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

The Boulet Brothers' Dragula: Titans Season 1 episode 8 "Horror Icons Reanimated"感想

(日本からは鑑賞しづらい番組のレビューをネタバレありで書いていますので、ご注意ください!メインチャレンジであるフロアショーはyoutubeで見られるので、感想の途中にリンクを貼っておきます)

 

いきなりブドワールに戻ってくるや否やブチ切れ状態のココさんから始まってビクビクした回でした。ここまでどちらかというと傍観者というか、ドラマの中に巻き込まれるわけでもなく、人の諍いに口を突っ込むよりはコンフェッションで密かにツッコミを入れる…という感じだったココさんが「あんな風に傷ついてコンペティションから去ろうとする仲間がいて、誰も追おうとすらしないの何なの!?」と大変ご立腹でした…(あれ、追っちゃいけない設定なのかなと思っていたのだけど…ココさんだけはボトム同士だったので処刑台へ登る待ち時間で交流できたけど、それ以外は行かなかったのでなく、行かせてもらえなかったと思っていた私であった…)みんなすっかりしょんぼりモードになりましたが、ココさんもここまでガツンと言わないとみんなに伝わらないだろうからあえての苦言、という感じだったようで、それでも見ていて辛い出だしでした。


フライトフィートは嘘発見器チャレンジ。これ度胸試しでも何でもなく普通に余興ですよねw 回答に嘘があると判断されると首に電流が流れるというのはちょっと痛そうだな、と思いつつ、問い自体は(実際誰かが何かを隠したり騙したりやましいことがあるわけでもないので)撮るに足らないものだなぁと思いました。アストラッドのためにベッドでトカゲコスプレできる?にホソがYesと答えてガッツポーズするアストラッドとか、ホソのこと好き?って聞かれてNoと答えて電撃を喰らうアストラッドとか、いちゃいちゃも大概にせんかいwってなりましたが、まぁそれも可愛い(そしてアボーラのことも愛している、と答えるホソさんの真摯さもよく理解できるのです…)

D&Dチャレンジの時腕のアーマーがなくなったとか、プロレスチャレンジの時ビキニが切られたとか、ココさんが誰かにハメられてるみたいなことを言っていたのが少し気になっていたのですが(だって誰もやりそうになかったんだもん)本人もやはり誰かにやられたわけでなく、事件性はない事故的なものっぽそうなことが分かってちょっとホッとしたりして。

何よりも、誰もが誰もを信頼していないことが分かったことによって、逆説的に信用できるようになるという不思議現象が起こっていて面白かったです。最初にそのことで揉めていた分、そりゃそうだよね、裏表なんてあって仕方ないよね、みたいな感じになれてよかった。

ちょっと可哀想だったのがアストラッドで、自分のことをトップ3に入れると思っていないことが、自分で自分のことを信じられていないことが浮き彫りになってしまって、それにショックを受けてるのを見るのが辛かったです。このTOP5にいるだけでも立派なことだけど、でも同じように残っているあと4人には敵わないとどこかで感じてしまっていることを自覚していて、それをみんなの前で嘘発見に晒すために表に出さざるを得なくて…結局自信って自分の中からしか湧き出てこないので、しんどいだろうなと思いました。


さて今回のテーマはs4のep1"Horror Icons Reimagined"を元にした、有名なホラーアイコンを自分なりに再構築して表現するというもの。今回はルックの披露だけでなく、そのキャラクターとして有名なシーンを再現するというおまけ付き。s4の時はアストラッドが「エイリアン」のゼノモーフで勝利したのが印象的でした。ちなみにホソさんは「コララインとボタンの魔女」の別のママ(魔女)、ココは「アダムスファミリー」のモーティシアをやっていて、2人とも高評価を得ていたっけなぁ。あの時点からこの三人のレベルの高さは分かっていたのだ…


今回は先にそのキャラクターとしてのアピールをしてからのフロアショー、といつもと順番が違う感じで良かった、何が良かったて一番手のココがやったホラーアイコンがBoulet Brothersだった訳なんですよ!いつものフロアショーが始まる前の口上を代理人として最初にやってくれるメタ的趣向にニヤリとしてしまいました。他の皆も最高なので、この後、このアピールタイム順に記載します。

https://youtu.be/ORlDZtOsHGU


フロアショー、こっちも素敵だった。

https://youtu.be/nxIgyav95hA


ココ…この番組のホストであるBoulet Brothersを本人たちの前でやるというその度胸!!それだけでもうNerveは100点ですよね(その基準は別の番組の評価用…!)口と首から滴る血の表現をラインストーンで行なっているゴージャスなところ、オーバーに表現された肩、赤と黒のラテックス素材…と雰囲気満点でした。昨今の感じだとどちらかというと白髪のウィッグが多かったですし、個人的にウィッグチョイスは形を含めそこまで好みではなかったですが、黒人であるココがBoulet Brothersのエッセンスを自分なりに取り込むとこうなるんだ、という新しい表現が見えて良かったと思います。


ホソ…ホソさんはやってくれたよ…!世界で一番有名なジャパニーズホラーだと思われる「リング」の貞子をこの世界中の人が見る番組でやってくれる、それだけで本当に日本人としてありがたく思います(ちゃんとリメイクのタマラじゃなくて貞子だよ!ってアピールまでしてくれて!)ただ単に髪の毛をだらりと垂らして白いワンピースを着るだけなんてつまらないことはせず、渦巻いた髪の毛を服に這わせ(伊藤潤二先生のうずまきインスパイヤとのことで、ここでもさりげなく日本の漫画を取り入れてくれた!)さらに懐かしのVHSビデオテープをたくさん絡みつかせて映画の中身をわかりやすく説明する表現に昇華させててすごかったです。全員がテレビの中からアピールする時間の中、さらにテレビを頭につけているというメタ的表現が面白かった!


ヴィクトリア…Tales from the Cryptという1990年代に放送されたオムニバスホラー番組の冒頭に必ず出てくる物語の語り部役、クレプトキーパーを演じたヴィクトリア。アクティングチャレンジさえなければファイナル間違いなし、なんて言ってごめんね、アクティングも急に渡された台本じゃなければバッチリだったね…!語り部を女性的にしたのもヴィクトリアらしい捻りだったと思うし、物語の中の1ページにドラギュラがある…というのもまたメタ的でニヤリとしてしまいました。


イヴァ…マーズ・アタック!!実は私のトラウマ映画ですw そういう映画と知らずに父親に並んで週末のテレビのロードショー番組で見てたら突然のバイオレンス展開に心が縮み上がってしまったのだ…なのでイヴァのお顔の半分のあの緑色のエイリアンパートが怖くて怖くて。アイコニックで分かりやすい、いい表現だと思ったのですが、ちょっとそのまますぎる、というジャッジの評価は少し辛めだなぁと思いました。ガムを噛んでいたせいか口元の特殊メイクが剥がれてきてしまっていたのは確かに勿体無かったけれど…!


アストラッド…前回はエイリアンをやっていたアストラッド、今回はそれを狩るものとしてのプレデターを演じるというシーズンを越えての趣向が面白いなぁと思いました。暗闇の中で光る蛍光色のネオンがとても映えてサイバーパンク感あって面白かった!講評の時に電気がついてしまうとやはり色々見えてきてしまうものもありましたが、少なくともフロアショーの表現としては本当に素晴らしかったと思います。惜しむらくはジャッジの言う通り、セリフのないキャラクターだからこそ、アイコニックな瞬間を演じるというのが難しかったことだなぁと思います。


今回「以前2人を残したツケを払わなきゃいけない、ファイナルに残れるのはTOP3だけ、今シーズンはTOP4にはしない」…と2人が落とされる(文字通り)と宣言されていたのでかなりドキドキしながら見ていましたが、そんな中ここでホソさんがトップになって文句なしのファイナル進出を決めたところで喜びの声をあげてしまいました。前にも書いたけどファイナリストとしてヴィクトリアは堅いかな、あとはココ、ホソ、イヴァから2人かな、誰がデカい加点を稼いでくるかな…と思っていたので、それを掴んだのがホソさんで、しかもアジア人として日本のホラーを選んでのウィナーだったので、本当に誇らしいような想いになりました。嬉しい、2シーズン連続でファイナリストなんて本当に凄すぎる…(前回から間も空いてないし、ツアー参加で準備期間も少なかったはずなのに…!)


そして残る4人は全員処刑台に立ってもらいます、ということで、コルドロンで最後の挨拶のような時間を全員で過ごしました。アストラッドはとにかく優勝とか賞金よりも、トップにならないとツアーに行けないと言うことが引っかかっているようで、色々なところを回ってパフォーマンスを見せたいと…「勝ちたい」以外のそういう邪念のようなものがある時点で厳しそうだな、ということが他の人たちの表情からも伺えるようでした。残りの三人、ヴィクトリアとココとイヴァは自分は残る、帰らない、という強い意志を滲ませているように感じました…それぞれ思うところはあるのだと思うのですが。


最終的に処刑台に2人ずつ呼ばれて、まずココとアストラッドが呼ばれた瞬間に、なんとなく組み合わせで運命を悟ってしまったのは私だけでしょうか。これがヴィクトリアとアストラッド・ココとイヴァという組み合わせだったらもう少し私もどうなるか分からんぞ〜とか思っていたと思うんですが…

まずアストラッドの名前が呼ばれ、奈落に落ちていき(一緒にファイナルに行きたかったと悲しむホソさんを見て辛かったです)、その後処刑台に歩を進めるヴィクトリアとイヴァを見て、まあおそらくそうなるだろうな…と思った通りの結末になるのですが、本人が「横に立つのが一番自分が強いと思っている、この人になら負けても仕方ない相手でよかった」と語っていたのがまだ救いかなぁと思いました。でもここまでは落ちる人の名前を言ってから落としてたのに今回は「ヴィクトリア!」って声かけてから少し虚を突かれた顔のイヴァを奈落に落として、「…あなたが最後のファイナル進出者だよ」って残ったヴィクトリアに言うのは意地悪がすぎるんじゃないでしょうか?もう〜このドラギュラめ〜!!


というわけでファイナリストが出揃いました。三人ともずっと良かったので(時に何かが引っ掛かりそれぞれボトムになったこともありましたが)割と予想通りだったかなぁという気持ちもあり。「ドラギュラって、揉める人から帰るよね」というのがお友達と私の共通認識だったんですけど、逆に言うと、ずっと冷静に自分のやりたい事・やるべき事を遂行できる人が残るんですよね。この三人はあまりドラマにも巻き込まれず(ホソさんなんかはバリバリ渦中にいるときもなんかケロッとしてましたしね)自分のペースを守れていたのが強かったんじゃないかと思います。

次回ファイナル!