あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

RuPaul’s Drag Race Season15 ep13 "Teacher Makeovers"感想

一年ぶりのメイクオーバーチャレンジ、前回メイクオーバーがあったs13はコンテスタント同士で行うというコロナ禍特別仕様だったので、外部から人が来てくれるのはs12以来でなんだか新鮮でした。(前日に見た金曜更新のベルギーもメイクオーバーだったので、なんだか雰囲気の違いが面白いなぁなんて思ったりもしました…そちらの感想もこの後…!)

 

 

 

Estoy viendo Teacher Makeovers en WOW Presents Plus
http://www.wowpresentsplus.com/videos/rdr-1513

 

 

 

メインチャレンジに入る前に余興として、ミニチャレンジで「残ってる5人のうち当てはまるのは誰だ?多数決ゲーム」が行われ、なかなか興味深かったです。自分が選んだ人が多数票であればポイントが入るのですが、アネトラ様が序盤他の人と全然答えが被らず独自路線なのが愛おしくて仕方なかったのと、「この中で一番Shadyなのは?」「あなたのアナスタシアベバリーヒルズコスメをパクりそうなのは?」みたいな意地悪な質問が満場一致でミストレスだったのに笑ってしまいました(本人も自分に投票!)そういう問いで票が集中しても笑い飛ばせるキャラなんだろうなぁってのも伝わってきて、そういうところからミストレスの憎めなさが出てくるんかなぁとかも思ったりして。(Hairyでミストレスがサーシャを挙げてたのはHair flipの名手だからだと思ってますがどうだろうか?)最後は「次に帰るのは誰だと思う?」という問題で、意図が見え見えで意地悪だな〜!と思ったのですが、自分のプライドを守るよりもみんなと合わせて「ルーシィ」と自分自身の札を上げることで見事全員の票を一致させて、一ポイントのリードを守ったままミニチャレンジウィナーという実利を取ることを選んだルーシィ、格好いいと思いました。商品も手に入るし、この後のメインチャレンジでも有利になるような特典が手に入るかもしれないもんね。「自分の札あげるなんて、勝負投げかけてんじゃない?」なんて、からかいたがってる人たちに塩を送りかねないシチュエーションで、冷静に成果を得るところ、好きです。これでフォトシュート、リーディングに続いてミニチャレンジ三つ目のウィン!おめでとう!


さて、メイクオーバーですが、ドラァグを施されに来てくれたのが全員女性(Xジェンダーの方もいるかもしれないので大枠括りですみません…!)というのが割と難易度的には易しい設定かなぁと思いました。「メイクをすること」「ドレスアップをするもの」「ヒールを履いて歩くこと」に対して、多少それぞれの経験値の差はあるだろうけど、シス男性に比べれば抵抗感は少ないかなぁと感じたので。

今回メイクされに来てくれたのは教職についている皆様!人を教える、という立場の人が、教え子の中にクィアな子どもがいるだろう中、ドラァグを体験しにきて理解を深めてくれるということは、とてもいい機会だなぁと思いました。この中で特に、ミストレスと組んでいた高校教師のMs.Tangという方は、自分自身がクィアだということを学校でオープンにしていて、別にクィアであるだけで迫害されるような州に住んでいるわけでないけれどカミングアウトは怖かった、でも生徒たちが「先生のクラスはセーフスペースだ」と伝えてくれて、言った甲斐があったと思う、と語っていたのには意義があるなぁと思いました。教師という、おそらく親の次に多く接することになる大人が、クィアとして堂々と生きる姿を見せることが、どれだけクィアである子どもに勇気を与え、そしてそれを邪魔しようとする人を止める力を持つかみたいなことを思うと、すごいことだなぁと思います。


ルーシーは前回自分のドラァグを「ジェネリック」と言われたことを少し根に持っていて、最後に残った二人のうち黒人の先生をサーシャのペアへ、黒人でない先生をラックスのペアにするという、ほんのちょっとSabotage!と言われてしまいそうな行動に出ていましたが、まぁでもその前のペアでコメディを披露する回でだいぶサポートしたのにキツく言われたらそうしたくなってもおかしくないよなぁと思いました。終盤だし戦略的になるのも当然と思うし。なのでペアとしての難易度はラックスが一番高かったのは間違いないのですが、でもラックスについては、ペア分け以上に、相手と打ち解けるために時間を取って対話することなく衣装作りの作業に入ってしまったのがもったいなかったかなぁと思いました。作った衣装は素敵だったんだよね、スカイブルーにピーチ色の組み合わせ、好き。でもペア相手がその色使いだったなら自分も、トレーン?の部分の裏地にピーチ色を使うとかして、うまく共通点をもっと足していたら違っていたのかなぁと思いました。肌の色の違いでドラァグファミリーとして似せるのが難しい、という部分は理解できるけど、であれば尚更、衣装や演出のどこかに共通点を持たせるなり、もっと仲良し家族感みたいなところを出していかないときびしいよなぁと思いました。ランウェイの練習の時も実際に一緒に動いてみて波長を合わせるのでなく、相手を見ているばかりだったし、メイクされている間もなんだか緊張感があったし、結構早い時点でラックスは危なそうだなぁ、みたいなのが伝わりました。やっぱり相手をリラックスさせないと信頼関係は築けないし、そこがこのチャレンジの肝だと思うのですよね…


っていうか他がレベル高すぎだったんですよね。本当、みんなすごく良くて、今回もう一人のボトムと、ウィナーが読めなかったです。自分に寄せる、似せるという観点からではルーシーとミストレスが優れていたと思うし、完全に似せるわけではないけどその人の良さを引き出して家族感を出すという意味ではサーシャ様とアネトラ様が良かったと思うし。個人的には本人のそっくりさんを作る方向性よりは、違う部分を認めつつも共通点を膨らませていく方が好きなのですが、今回のトップ2を見るにジャッジもそういう観点で評価していたのかな?と思いました。


今回はね、私はサーシャ様が勝つかな?と思っていた。元々多大なる努力による女神のボディを持つ方だけど、今回はスポンサーからパディング用のパッドが提供されていたのもあり、それをペアの方とより合わせるために上手に使って、さらに「女性らしい」とされる砂時計のようなボディラインを強調していて、とても素敵でした。ペアを組んだ方が、夫の人と一緒にドラァグレース見てるのよ!とやる気満々だったり、ドラァグネームを「フェロシティ」とPOSE(ボールルームを舞台にしたドラマシリーズ)に出てくるちょっと憎めない敵役のハウスの名前にしていたり、一番好きなDIVAは?とサーシャに聞かれ「レイオミー!」とボールルームの重鎮の名前を挙げていたりと、そういう部分もちょっとニヤリとしてしまいました。

でもアネトラ様がペアリングされた最初の時点できちんと「何か自分にとって不安なところってある?自分の場合は肌だけど」「人前で歩くのが少し怖いかな、引っ込み思案なの」と自分の弱みも見せつつ相手のことをヒアリングして、鏡の前で少しずつ自信を持たせて、ルポールとの面談の時点で堂々と対話できる状態にして、自信たっぷりに同じアサシン姉妹の顔でステージを歩かせることができたところもとても素晴らしかったので、ウィナーになって嬉しかったなぁ(ウォーキングレッスンでダックウォークまでやらせようとしていたのはスパルタ!!と思いましたが!)講評の時に一番ジャッジと笑ってコネクト出来ていたのが勝利の決め手だったのかな、と思っています。アネトラ様、ルポール御大に「この人、ドラァグするとエナジーが変わるんよ、ランウェイウォークがKillerなんよ」と言われていたので、普段アネトラ様のことを(ごめんなさいと思いながら)「殺し屋の顔をしている」と書きがちな私は御大の口からKillerという言葉が出たのに笑ってしまいました。いつもごめん、でも好きだよアサシン顔…ペアを組んだアレクトラさんもいいアサシン顔だったよ…陰陽をテーマにした衣装も好きでした。


アネトラ様がResting bitch face(私はふてぶてしい顔と解釈してます)とよく言われていますが、ミストレスはなんというかヴィラン感が顔に出てしまうのが面白いですよね。ペアを組んだマダム・サングもミストレスの余裕のある振る舞いをうまく再現的できていて素敵だったと思います。あの腕のパジェントの子がみんな持ってるモフモフ、私も欲しい。

ルーシーも良かったんですよー!ララ・ラドゥーカさん、本当にミニチュアのルーシーというか、ルーシーのシグネチャースマイル!という感じのパキッとした笑顔がそっくりで、いいメイクオーバーだと思ったのですが…靴を同じようにキラキラにしておけば良かった、みたいな本当にちっちゃなところがジャッジに引っかかってしまったのが勿体無い、と思いつつ、他の組と比べるとケミストリーがもう一歩と言われると確かに、と思ってしまう部分もあって(ミストレスはランウェイの最後のポージングでビシッと魅せるみたいな印象を残す演出が上手いんだ…!)


でも正直ねぇ、ジャッジングの前からみんなこの展開悟ってたでしょう。ルーシーがあんまりルポールに、というかジャッジたちに刺さっていないこと、ミストレスとラックスからずっと過小評価されてからかわれていたこと、そして前回誰が帰るべき?という質問で票が集まった際にラックスの言ったことが一番ルーシーを傷つけていたこと…その辺りが積もり積もって、ラックスがボトムになるのが見えた所で、その相手役として一番ドラマを作りやすいルーシーが相手役になってしまうんだろうなあと思っていた流れ通りになってしまったのが、なんか悔しかったです。番組の展開が読めてしまうことはたまにある、でももうちょっとルーシーに対するリスペクトがあるような進め方にしてほしかったな…ずっと、ちょっと舐められてるんじゃない?みたいな感じだったのは、番組制作側に優しさが足りないなぁと思っていました。

なので、リップシンクも正直見る前から結果が読めてしまったというか。私はフィジカルパフォーマンス的には圧倒的にラックスに分があることは分かっていたし、大技満載の派手で見栄えのする動きが入っていたと思いますが、歌詞を再現する口の動きと曲を理解しての身体表現としてはルーシー、絶対に負けていなかったと思います。それでも結果がこうなるのはわかっていた、だからこそ悔しいし悲しい、帰り際のコメントも無念さが滲み出るもので、わかるよ、私も悔しいよ、と思いながら震える声を聞いていました。


今月入ったくらいからじわじわとルーシーのタレントショーの曲、Let looseがネットミームになっていて、色々なドラァグクイーンが曲に合わせてパフォーマンスしたり歩いたり、みんなが聴きまくったり頭の中を流れまくったりしていたと思うのですが、ep1の時は歌もダンスも中途半端になっちゃってる…みたいなジャッジをされてボトム3になったようなその曲が、じわじわと皆に愛される曲に育っていくその様はいわゆる「スルメ曲」の誕生を見るようでした。みんなに向けての応援歌のような歌詞の曲ですが、最近では話題になるたびに、逆に私たちからのエネルギーを伝えるようなルーシーへの応援歌になっているのではないかな、そうだったらいいな、と祈りながらここのところLetをlooseさせていただいておりました(文法がおかしい)本当、頑張ったよ、不屈の精神がかっこ良かったよ、ルーシーが負けたんじゃなくて、番組の編集がそうさせたんだよ…みたいな気持ちです。番組の求めるネクスドラァグスーパースター像とは違っていたんだろうなぁと思うけど、でもスーパースターだよね、逆境にも負けず戦い続けるスーパーヒーローだったよね…おうちでご家族や、肝心なところでくしゃみしちゃうかわいいワンコと傷を癒してくれてたらいいなぁと思いました。

 

 

ところでフィナーレに3人しか進めないってマジですか!?私4人フィナーレだよな、その方がリップシンク勝負もやりやすいし〜くらいの気持ちでいて、だからどこかでダブルステイがあるんじゃない?とか思っていたのですが(マーシャvsアネトラの時とかね)本当に3人なの!?昨シーズン5人フィナーレだったのに??

今シーズンは原点回帰がテーマ、ということで、シーズン1のように3人ファイナル、一人落として2人のリップシンク勝負で終わらせる、ということを目指しているのかもしれませんが、いやー予想外すぎてびっくりしました。誰が落ちるの、予想つかない、サーシャ様は残ると信じてますが…(残らなかったら私は大荒れします、あとアネトラ様も残って欲しい、理想は決勝戦でもう一回二人のリップシンクバトルを見ることです…)次回MV撮影みたいですが、頼むからそれは撮影したもの全員分使ってくれよ、S7とS8みたいに一人分だけ撮影したけどカットするみたいなひどいことはしないでくれよと祈るばかりです。私の中でドラァグレースひどい仕打ちベスト3の中に入れてるよ、あれ!