あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Drag Race Belgique Season1 ep6 "A deux c’est mieu!"感想

今週のベルギーはメイクオーバーチャレンジ!感想を書くのは前後しましたが、金曜はベルギーのメイクオーバーを見て、土曜はアメリカのメイクオーバーを見て…と雰囲気の違いが面白い先週末でした。どちらかというと…いやかなり…こっちのほうが…平和…いいですね、チャレンジそのものに集中して見られるって…

 

 

 

Estoy viendo A deux c’est mieu! en WOW Presents Plus
http://www.wowpresentsplus.com/videos/drb-106

 

 

 

 

ついにベルギーでもフリットクルーのちょっぴりセクシーなミニチャレンジが来てしまったか…(でも他の国よりパンツの形状がヘルシーな気がする、そんなことない?)という感じでしたが、お尻を使った神経衰弱によってリビールされた5人の方々が今回のメイクオーバー相手という趣向でなかなか面白かったです。でも半裸のフリットクルーが10人も並んでる中でも「どの人がタイプかって?…ピーチ!」「これだけいてもやっぱりドラァグクエンが一番!」というコメントが出てくる二人がなんだか可愛かったです。なんなん?相思相愛なん?


ジャーナリスト、ラジオのホスト、気象予報士、役者、コラムニスト…と職業も性別も年齢もバラバラの方々が集まっていて(これだけバラバラだとなかなかメイクオーバーのしやすさ・しにくさに差が出て公平じゃないのでは?と思いつつ誰も文句言わないの、偉い)ミニチャレンジウィナーのピーチちゃんは誰を選ぶのかな〜、肌見せを厭わないセクシーなドラァグを好む方なので、フェミニンな感じの人か、ヒールに慣れてそうな人かを選びそうかなぁと思っていたら体格のいいお髭の方を選んでいたのでちょっと意外でした。でもみんな誰が来てもウェルカム!みたいな感じでまったく不満なくペア組みが進んだので、平和っていいなぁと改めて思いました。


今回のテーマは厳密に「ドラァグマザーとドラァグドーター」。こういう課題の時はファミリーらしさが出ていればOKというケースが多いので、ワークルームで「マリオネットで行こうと思って〜」とか「おばさんになった姉妹みたいな感じで行こうかなと」とか「ベッドルームで遊ぶ姉妹にするんだ」みたいにアイディア出しをしていた人たちが、「そこから親子のコンセプトちゃんと伝わる〜?」「今回は親子テーマなのわかってる〜?」と次々に止められているのを見て、あれ、課題出しの時にもうちょっと「明確にマザーとドーターじゃなきゃダメ」って伝えておくべきだったんじゃないかなぁと思いました。5人中3人が戸惑ってたもんね。

ジャッジからの釘差しを踏まえて、ガラッとコンセプト変更をするマドモワゼル・ブープ、ちょっとアプローチは変えるけど絶対やりたくないことはやらないスーザン、ビジュアル予定はそのままで親子設定でやればいいよねって方針にするアテナと、みんな対応が違っているのが面白かったです。


一人目、ピーチちゃんのペア。リュージュ地方のフォークロアをコンセプトにした衣装が可愛かったのだけど、ジャッジからは賛否両論…私は自分の出身地を打ち出していくの、素晴らしいことだと思うし、衣装はさておき何よりももっともっとメイクを褒めてあげてほしかったです。ピーチちゃんは今いる中で最年少で、ペアを組んだ相手は明らかに自分よりも歳上で体も自分より大きい人なのに、自分が母親に見えるように若干老けメイク(でも美しい!)を施し、相手は若々しく仕上げていて、すごくメイクの表現力が高いなぁと思いました。ペア相手・メロピリちゃんにお髭を剃ってもらった(有無を言わさず!)こともあり、トランスフォーメーションが素晴らしかったので、ビフォアアフターの写真紹介があったら絶対もっと高評価になったんじゃないかなぁ。


二人目、スーザンのペア。当初スーザンはメイクオーバーチャレンジがあったら来てもらう相手は自分のお母さんなんじゃないかと想定していたそうで(お母さんもその気になって靴を用意していたらしい、可愛い)最初は映画のサンセット大通りをコンセプトにしたマダム二人が歩いている…感じかと思いきや、娘がこんなの嫌だ!と反抗して今風のギャルにリビールするというストーリーに変更していて、自分の元々やりたかったことを活かしつつ、でも親子らしく見えるような工夫を加えて来たなぁと感心しました。ジャッジのルフィに唇のメイクを年配に見えるようにこうしなよ!ってアドバイスをもらっていたのに、せっかくランウェイ歩くのに醜くなるのは嫌じゃ!綺麗なメイクで歩きたいんじゃ!と自分を貫き通すところ、私は好きです。


3組目、アテナとアルテミスのペア。この二人はワークルームからお互いギリシャにルーツがあるということで意気投合して、そっちがギリシャ神話の知恵の女神アテナなら、じゃあこっちは狩猟の女神アルテミスにするわ!とドラァグネームの決め方までほっこりしてしまいました。もともと、自分が実際にやっていた「親がいない時に隠れてタオルをドレスにして遊んでいた子ども時代」を姉妹として表現したい、というコンセプトだったのを、一緒にタオルのドレスで遊んでくれて、お化粧をしてくれて、禁止されていたお人形さんをプレゼントしてくれるお母さんと娘…という表現に変更していて、初期のエピソードで親子の仲が断絶してしまっているというのを聞いていたのもあり、自分の逆境を反転させて、切なくも温かいランウェイに昇華したなぁ、と感じました。このペアがウィナーになるわけなのですが、ちょっとvulnerabilityというかエモーション加点があったんじゃないかな?と思ったりもしました。みんな良かったからね、一歩抜きん出たとしたらその物語性が心を打った部分だったのかなあと…あとリップシンクの時にお互いをハンドペイントするみたいな遊び心の部分も印象的だったので、そこもプラスに働いたのかと思います。今回は見た目の出来栄え以上に、ペアとして心を通わせて家族のように親密になれたかというのが評価されているような気がしました。


4組目、マドモワゼル・ブープのペア。当初のコンセプトである「母ののマリオネットを持った娘をさらにマリオネットとして持つ母」という多重構造は、親子として伝わりにくいかもしれないと言われたことと、この後のクエンさんがピエロ系表現なので方向性が被ることを考えて中止して、母娘のおしゃれ泥棒みたいなコンセプトにしていて可愛かったです。キャッツ・アイじゃん。バキューンされて、私のハート、いただかれました。ジャッジには果たして親子であることがわかるかな?と言われていましたが、個人的には二人のメイクの寄せ方は一、二位を争う感じだと思ったんですが。上下で色を入れ替えた、赤と黒のシンプルな衣装もミニマルで私は好きでした。


最後、ドラァグクエンさん。もうね、私この人のコンセプト力とプレゼンテーションの上手さに完全に参ってるんですよ…ピエロの親子で(道化恐怖症らしいムスティさん、ガンバ!)娘の方が反抗期で不機嫌に登場して、持っていた風船を飛ばしてしまい、さらにお母さんの袖を膨らませるために入っている風船を割るという意地悪をして初めて機嫌が良くなって笑うという…複数の風船を使って袖を膨らませるアイディア、今までなかったので天才かよ!と思いました。その後親子リップシンクしないといけない時にリビールした衣装も素敵だし、最後の最後に帽子をリビールしたら風船がぽよよん!って出てくるのも本当に最高でした。ディテールに次ぐディテール!完全に脱帽して私も風船出しちゃう。

私は一番好きだったんですけど(無理やり髭を剃ることを強制するのでなく、ジリジリと本人の意思で剃るようにしむけるのもうまく誘導したなぁと思いました)元々あんまりフェミニンなドラァグをしない人なので、「母娘」とジェンダーをはっきり見せろと言われてしまうとちょっと不利だよなぁと思いつつ、でもそれでも勝ちまで後一歩だったよ!と言われてるのはすごいと思います。

あと途中でクエンさんがコンフェッションで、昔はドラァグを始める際に誰かにアドバイスを求めてマザーになってもらうのが当たり前だったかもしれないけど、現代はyoutubeなんかでメイクチュートリアルをみて一人で始める人だってたくさんいるんだからちょっと母と娘って強制されるのは時代にそぐわなくない?みたいにぼやいていて、でもそんなこと言いながらもuntuckedで、家族っていいもんだ…みたいに涙してしまうところも愛おしかったです。

 

リップシンクの曲を歌った本人の前でリップシンクするという緊張する状況で、ボトム2になってしまったのはピーチとマドモワゼル・ブープ。どちらもとてもよく表現していたと思いますが、コーラスの声に驚く素振りを見せたり、ドラムを叩く表現や、埃を掴んでフッと吹く表現など、細かいディテールをたくさん入れていたマドモワゼル・ブープの勝利になりました。ピーチも頑張った!!ベルギーはいつも帰る時に、かけてくれるコメントが具体的だから、活躍を思い出せていいですよね。そうだアクティング面白かったよね、ランウェイ素敵だったよね、これからもたくさん成長して活躍してくれるクイーンだと思います。去り際最後にカメラに向かって「クエン、勝ちな!」って激励を残して行くのも、やっぱり仲良いなぁってグッときました。

 

 

さて次回、セミファイナルは「もし自分がベルギーの女王になったら?」というテーマのスピーチ勝負みたい。思い返せばここまでダンスや歌のチャレンジがないシーズンも珍しいですね、最終チャレンジまでのお楽しみに温存してるのかしら。そしてなにやら嫌な質問がされるようですが、でも「誰が帰るべき?」は先週聞かれたばかりだし、あれ以上の嫌な質問って何かあるかなぁ?気になる〜。アテナとクエンさんが2勝ずつでリップシンクなし、スーザンとマドモワゼル・ブープが勝利もリップシンクも一回ずつ…ということで、後者二人での争いになるのかしら、それとも番狂わせがあるのかしら?ファイナリストが誰になるかのワクワクも含めて、楽しみにして来ます。