あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Drag Race Belgique Season1 ep7 "Discour de reine"感想

今週のベルギーは、みんながダンスやりたーい!と騒ぐ中(最終チャレンジでやるつもりで取っておいてるんだよ、と気づく人も…)自分がベルギー女王になったらどんなスピーチをする?という回でした。すでにみんなクイーンだけど、さらにクイーンになるだなんて…!

 

 

Estoy viendo Discour de reine en WOW Presents Plus
http://www.wowpresentsplus.com/videos/drb-107

 

 


セミファイナル付近でスタンダップコメディとか入ることもあるんだけど、今回みたいなシリアスなやつのほうが、それぞれの考えてることがダイレクトに感じられて、個性が見られて好きだな…と思ったりしました。リタがみんなにアドバイスする際に、大事なのは3点、人をインスパイアするようなものになっているか、人の心を感動させるようなものになっているか、ユーモアを入れて笑わせられるようなものになっているかどうか、それが大事だよ、と具体的に伝えていたのも、こっちが見る際に判断基準が明確になっていて、分かりやすくて良かったです。


暗闇の中でメイクするミニチャレンジで勝利したマドモワゼル・ブープ(ミニチャレンジ3勝目!)が順番を決める権利をゲット。一番の強敵のドラァグ・クエンさんをラストに持っていくというのは少し戦略的ではありましたが、自分を少し難しいポジションの一番手に持っていき、自分の母語でないフランス語で言いたいことをまとめるという若干他の人よりハードモードだったスーザンを二番目に(ベルギーはオランダ語系の北部地域と、フランス語系の南部地域とに二分される連邦国家で、スーザンは北部の都市ゲントがホームタウン)、そして言語化して文章にまとめるのが難しい…と言って1番悩み苦しんでいたアテナを三番手に置くという、なかなか人情味が伝わる様なオーダー決めだったと思います。


トップバッターは最初に終わらせられてすっきりできるという利点はあるけれど、後に続く人が良いと印象が霞んでしまうという不利な点がある上、そもそも幕開けとして失敗できないというプレッシャーのかかるポジションで、マドモワゼル・ブープはうまくまとめていたと思います。若い時、人々が自分を内向的とか陰鬱とかカテゴライズして、普通という箱に入れてくれなかった。でも今となると、人と違う部分こそが自分の強みになって、みんなが想像できないくらいの成功を成し得る基盤になっている…というスピーチは説得力がありました。リタの言う通り、ちょっとユーモアで笑いを取る、という部分がもう少しだったかもしれないけど(顔色悪いけど生きてるよ!ってところ、好き)私は真摯で、優雅で、よいスピーチだったと思います。

二番手のスーザンのスピーチ、良かった〜!ブープさんは「自分は政治的なことはドラァグとは分ける主義」と言っていて、そのスタンスも理解できるのだけど、このドラァグレースという世界に届けられるプラットフォームを使って、ベルギー南北の分断を憂うような主張を込めたスピーチをすることの意義を考えると、やはり勇気があるし素晴らしいなぁと思います。極右政党が票を集め、ベルギーを解体しようとしているだけでなく、クィアを初めとするマイノリティにとっての危機であると真剣に語りつつも、昔の王妃様の髪型に似たウィッグを被り、ワッフルやショコラ、フリット…クルーをシェアしましょ!とジョークも交えて深刻になりすぎないようにするバランスも良かったです。

三番手、アテナはやはりあからさまに緊張しており、最初は詰まってしまったりかなり動揺が見られましたが、ガウンを脱いでからは素の自分が出せたのか、熱く語る姿が印象的でした。「ドラァグクイーンを物の様に扱ったり、同意なく触る様な人は、指を140度の油で二度揚げにしてしまいましょう」という部分がお気に入りです。「ベルギーの皆さん…そしてリタ」という笑いを取れるフレーズを二回入れてきたのも良かったと思います。

ドラァグクエンさんは指にお目目をつけて簡易ハンドパペットを作って、自分の世界観の中に引き摺り込んでくれたのが良かった!最初は明るくファンファーレで迎えてくれたパペットが、途中恐ろしい敵に変わって、ひどい言葉を投げかけてくるところ、本当に引き込まれてしまって、魅せ方の上手さに唸ってしまいました。王宮の様に安全な国にしたい、もう友達が殴られて緊急治療室にいるのを待合室で待つのは嫌だ、ひどい言葉をかけられるのも嫌だ、と語りかけてくる中で感じたのは強い怒りで、そして物事は変えられる、変えてみせる、と決意を語ってからまたパペットのファンファーレで引っ込むところ、また日常が戻った様でホッとしました。本当に緊張と緩和がある、まとまったいいスピーチで、制限時間と言われていた2、3分を超えていたなんて思わなかったくらいでした。


ランウェイはベルギーの都市クノックのザウテという場所のグラマーというテーマで、んー…湘南で豊満みたいなイメージ?(韻を踏んでみた)とにかく海辺の街なのだなー、全員ランウェイいいな、好きだな〜と思って見てたのですが、ジャッジが「それって本当にクノック?ただの海じゃなくて?」みたいにブープさんやアテナに厳しかったのでヒー!となってしまいました。クノックのこと知らないけど、これならクノックね!ってルック作るの難しすぎやしないか…?私はムール貝いっぱいで美味しそうなブープさんも、最初水を吐くところから世界観に巻き込んでくるアテナの網ドレスも、両方好きでしたが…

スーザンのルックはグラマーとはちょっとズレてるよなぁと思ったので(でもキャンピィで大好き)指摘されるだろうなぁと思ってたけれど、コンフェッションで「長いドレスは今までも着たことないし、これからも多分着ない、好きじゃない!」とはっきり言っていたので笑ってしまいました。先週の老け見えメイク拒否事件といい、好き嫌いがハッキリしててよろしい、私はそういう子好きだよ!(コンペティション的には難しい部分もあると思いますが)

しかし今回の白眉はやはりドラァグクエンさんですよ。オレンジ色のサテンのキルティングでこれはダイバーなのか…?いや、日焼けしたくないおばあちゃんなのね…?となったところで、リビールして神秘的なシルバーセイレーンになるところ、痺れました。メイクもドラァグレースであまりみないタイプのアーティスティックメイクで非常に良かった…そして今まで見せたことのないグラマーなルックで、本当に素敵でした。シュッとしてるのにグラマーとはこれいかにって感じなんですけど…


というわけでチャレンジとランウェイ合わせて、ドラァグクエンさんは(時間オーバーのペナルティが響かなければ)今回のウィナーになるかなぁと思っていて、あとチャレンジで動揺が見えたアテナはリップシンクになるだろうなぁとは思っていて。もう一人は、どちらもふわっとジャッジに刺されたブープさんになるのか、ランウェイがグラマーでないことが減点となってスーザンさんになるのか…どっちかな、と思っていたら、一番手でブープさんがリップシンクだと告げられて、あっ、ドラァグファミリー対決にしたいやつなの〜?(エドナさんがアテナのマザーで、ブープさんのシスターなので、二人はおばと姪の関係)と悟ってしまいました。

曲はバナナスプリット、DRフランスで聞いてなんてキャッチーな曲なんだろうと思っていたけど、今回も生バナナが飛び出すコミカルなリップシンクになりました…胸元から取り出すブープさんはわかるけど、アテナ、あなたどこに隠してたの…?おしりのわれめのところ…?そもそもどこで調達したんだろう、バナナ。食べ物は座って食べましょう!踊りながら食べちゃダメ!と私の中の母性がお説教をしたくなるのを宥めながら見てました。

二人ともハチャメチャだったけど、衣装まで脱ぎ捨てて文字通り裸一貫で勝負したアテナの勝利となり、ブープさんを推していた私は、私は…!願わくは本人のやりたがっていたダンスチャレンジでの姿を見たかったので、ぜひファイナルに進んで欲しかったのですが。…でもまあネクスドラァグスーパースターを探す番組だもんね、批評の時に新鮮みにかけるとか、ちょっと古臭いところがあるとか言われていたので、オールドスクールなところがジャッジに響かなかったのかもしれません。でも私は好きだよ、安定感があって、でも謙虚で、ずっと安心してみられるドラァグで…最初は顔ファンだったのですが(正直にいうと、オフドラァグがメガネの人にとても弱い。あと長髪の人が髪の毛をきゅっとまとめてるのにもとても弱い。ドラァグ姿も美の化身で最高ですが、オフドラァグの時点でビジュアル的に好きすぎた…)最終的に穏やかな態度を含め、すっかり大好きになってしまいました。

 


さて次回フィナーレ!推しが落ちた後だとなかなか最後にチーム誰々って決めきれないことも多いのですが、今回は私は明確にチームドラァグクエンと宣言させていただきます。1番ドラァグでびっくりさせてくれたし、ワクワクさせてくれたし、こういうタイプのウィナーって今までいなかったので、ベルギー最初のウィナーになってくれたら面白いよなぁと思います。でも3人とも好きなので誰が勝っても祝福できる。そして次回念願のダンスチャレンジなので、みんなの活躍が楽しみ!とても平和でいいシーズンだったので、フィナーレもこのまま平和で楽しくシーズンを締めてくれるといいよなぁと思います!