あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

RuPaul’s Drag Race Season15 ep16 "Grand Finale - Season 15"感想

いいフィナーレでしたね!!観客たっぷり、歓声と拍手に包まれて、祝福に満ちた大団円だったと思います。結果にも私は納得、何よりもエンターテイメント性に満ちた素晴らしい60分の構成に大満足でした。現地に行っていたお友達から色々素敵な情報を教えてもらったりもしたのですが、基本的に皆様が見ている通りの、放送されたものをベースに感想を書いていこうと思います。

 

 

Estoy viendo Grand Finale - Season 15 en WOW Presents Plus
http://www.wowpresentsplus.com/videos/rdr-1516

 

 


最初に不満を言ってしまうと、s15のトップ4以外のキャストにはもう少しだけでもスポットライトを当ててほしかったのですが…(って毎年言ってますね!)最初のランウェイ以外は個人個人にクローズアップされることがなかったのが残念でした。喋るチャンス、なし。さみしい。でも本当不満がこれだけなの!あとは大満足のフィナーレでした。

それぞれ自分らしさを表現したランウェイ衣装、素晴らしかったです。毒々しさと美しさを兼ね備えた蛾をモチーフにしたアイリーン、腰まで繋がる花籠のヘッドドレスが印象的なプリンセスポピー、天使かはたまた水の国のお姫様のようなシュガー、ボリュームのあるオーバースカートを脱ぎ捨ててポップスターのように決めたアメジスト、モノトーンのドレスが最高にエレガントなロビン、白いウィッグにアクセントで黒を入れたのが印象的だったオーラ、格闘ゲームのキャラクターのような闘う心を忘れないジャックス、美しすぎる地獄の門番のようなスパイス、パジェントガウンかな?と思いきやタコの足がアクセントになってキュートなマレーシア、赤一色の広がるスカートとシースルーのヘッドピースが素敵なマーシャ、プリンセスのような可愛さと思いきや振り返るとカットされたケーキになっているという趣向が最高なサリーナ、そしてここにきてどこをlet looseさせてくるのかと思ったら脳みそだった!というホラーな美しさを見せてくれたルーシー、それぞれ今までのイメージをさらにグレードアップさせてくれるか、今までになかった姿を見せてくれたので、大満足でした。みんな気合い入ってた!


一番印象に残ったのはオーラで、衣装も素敵だったのですが、大きな扇子で「Drag is not a Crime」と書いたメッセージを披露した瞬間に会場がわっと盛り上がったのを感じました。このメッセージはこのあとフィナーレをずっと貫き通すメッセージになりましたね…


そしてTOP4クイーンの入場。これも4人とも素晴らしかった…!こういう大切なランウェイでアジアルーツが伝わるような衣装を着てくれるアネトラ様、番組で時に軽視されているのではないかと邪推すらするアジア系としてこうしてTOP4で歩いてくれることが本当に誇らしいです。赤と黒という組み合わせ、そして帯がアクセントになった衣装、素晴らしかった。ラックスはCrystal ballの時に見せてくれたような妖精のような、はたまたショーガールのような、儚いふわふわのピンクのルックで可愛かった。ミストレスは衣装の素材選びが素晴らしいですね!エナメルが美しい赤の衣装が、ミストレスの美しいプロポーショナイジングによっててりってりに煌めいて本当に美しかったです。そして赤一色のマイ・フェア・レディ風なルックのサーシャ様、エレガントなだけでなくてスカートが透けているというセクシーさで最高でした。


次いで登場したのはルポール御大。後ろのスクリーンに顔がバーンと表示されてからの登場で迫力満点でした。去年は天井からの登場で度肝を抜いたものですが(真剣に心配をした)今年は地に足のついた表現で、パフォーマンスタイムも無理なくワンバースのみで、それでもダンサーを従える様が女王の貫禄を見せるようで良かったです。


さて今回はTOP4がそれぞれソロパフォーマンスを披露して、その結果でTOP2を決めてリップシンクで王者を決めるという形式でした(昨シーズンと一緒ですね)正直リップシンクスマックダウンよりも事前に練習しておけるし、パフォーマンスそのものよりもリヴィールとかでどれだけ気をてらったことできるもの勝ち!みたいにならなくて、じっくり見られるので好きです。みんな良かった…始まる前のそれぞれのソロインタビューも含めて、ここまでのs15の道のりを思い出してグッときてしまいました。


アネトラ様、インタビューで言っていた「曲のタイトルはロータス、蓮の花は泥や苦しみの中を抜け出したあと、やっと水面で咲く花で、そこでやっと本当の姿を見せられる」という説明だけでもう、s15で何度か語られた過去の苦しみを超えて今があることを表現したいんだなということが分かって、それだけで込み上げるものがありました。蓮というアジアにゆかりのあるテーマを選んでくれることもありがたい。私はもうアネトラ様はソロで踊るだけで華が盛り盛り咲く人だと思うので、バックダンサーなんてむしろいらなかったかも、なんて思ってしまうくらい。でもリフトなど、やはり一人ではできない技も入れていて、迫力があってよかったです。


ラックスはファッショナブルだったー!1番バックダンサーを「従えていた」という感じで、プロのダンサーと比較してもまったく見劣りしない踊りでセンターで輝きまくる姿にスター性を感じました。途中で手足のパーツを外してボディスーツになったのも美しい肢体と長い脚が強調されて最高!ところで冒頭の自己紹介VTRでの謎の被り物はあれはなんだったんでしょうね…?最後の最後に謎の意外性を見せてくれて笑ってしまいました。ボディが完璧だってことを強調したかったのかしら。


ミストレスは赤と白で、あなたのDelusionを治せるのは私のドラァグ!というお医者さん的なアプローチが、このシーズン通して(主にルーシィに)言っていた台詞をモチーフにしていて、そういう皮肉をネタにするところ、らしいなぁ〜と思いました。バックダンサーはなんで白黒なんだろう?と思ったけれど、あれ赤白で傘回してたらミントキャンディみたいになっちゃいますね。そしてリフトがあるとは予想していなかったのでちょっと驚きました、迫力あった!


サーシャ様は下半身が蛇みたいになってダンサーたちに横抱きされて入ってくるところからもう圧巻でした。代名詞となっているヘアフリップも、自分で振り回すのでなく、ダンサーたちに最初弄ばれて色々な方向に髪の毛が動くのが本当にメデューサのようで芸術的な世界観に引き込まれてしまいました。途中でこのシーズンでトレードマークの一つになった首コキャ!を入れてくれてくれるというサービス精神も含め、パフォーマンスも素晴らしかったし、多分もうGODDESSのスペルは忘れない。最初は囚われた魔物のような登場だったのに、最終的には男衆を全て魅了して使役してしまう素晴らしい女神のような姿でした。


4人とも良かったですが、サーシャ様は圧倒的に良くて、絶対にファイナルに行くだろうなぁと確信していました。もう一人、誰になるのかな…とドキドキしながら見守っていたら、最初にアニトラ様の名前が呼ばれて、その後にサーシャ様の名前が呼ばれたので、神様に感謝してしまいました。そのシーズンでダブルシャンティになったり、伝説的なリップシンクをした2人がファイナルリップシンクに進む傾向が若干あると思っているので(s11とかs13とか…)それを期待していたのですが、本当に良かった。もちろん、セミファイナルまで駒を進めたラックスとミストレスも本当に素晴らしかったです(純粋に今回のパフォーマンスだけを判断基準にしていたとしたら、どうなっていたか分からなかったかもなぁ…と思うくらいでした)


パフォーマンスの合間にボブ・マッキーに功労賞が贈られたのもホッコリでした。これだけ番組内でたくさんのコンテスタントたちの衣装に影響を与えて、活躍してくれた人がこうやって表彰されることはめでたいなぁ、と思います。今後もこうやってドラァグレースカルチャーに影響を与えてきた人が表彰されたりするのかしら、来シーズン以降もちょっと楽しみです。


ドラァグは罪ではない、というメッセージを色々な人たちが口々に伝えるコーナーにも、この番組の意義を強く感じました。番組に出ているパフォーマーだけでなく、もっとみんなに身近であろう一般の人も、または著名なスターの人も、みんな同じアメリカ人で(視聴者はそうとは限らないのですが)同じ権利を持っている、クィアを分断しようとする状況はおかしいと声をあげることで、一人分でも、一歩でも、前向きな方向に進むといいですよね。そこから続けての披露になった、今やドラァグレースに欠かせない名作曲家リーランドと、覆面カントリー歌手オーヴィル・ペックによるwigloose劇中歌のバラード、ルージカルでアニトラ様がリップシンクしてるときから素晴らしい曲だなぁと思っていましたが、本当にメッセージ性の高い、素晴らしい曲だなぁと感じました。ドラァグは戦いであり、ドラァグは抗議であり、ドラァグはただ自分そのものを明らかにするだけのものだ…ルポールも語っていましたが、収録時点では架空の街の物語であったはずなのに、現在では実際にドラァグが禁止される街が出てきてしまっている…そんなタイミングでこの曲が生まれ、披露されることに運命的なものがあるなぁと思いました。シーズン15クイーンも揃ってみんなで歌えて良かったね…(一部リップシンクしてない子も見受けられたけどご愛嬌だよね…)


その後、s14覇者のウィロウ・ピルが美しいピンクのドレスで華やかに登場。最初枝垂れ桜の妖精かな?と思ったのですが、ウィロウ=柳だけにおそらくピンクに彩られた柳をイメージしているのだろうなぁと。自分のテーマソングにもなったI hate peopleという名曲をバックに観客全員に中指を立てる様、相変わらずだなぁとニヤニヤしてしまいました。そして彼女に紹介されて出てきた、昨年のミスコンジニアリティのコーンブレッド!昨シーズンフィナーレでは「美女で野獣」姿で出てきて印象的でしたが、今回もライオンのような姿で出てきて、今シーズンの全員の名前が入ったラップを披露してくれました。ただミスコンジニアリティを紹介するだけでなく、こうやってエンターテイメントとして楽しませてくれるの、去年早い時期に負傷でリタイヤしてしまった彼女にとっても花道を用意してもらえたようで嬉しかったです。そして、ミスコンジニアリティとして発表されたのは…マレーシア・ベイビードール・フォックスちゃん!!好きです、嬉しい(もはや誰に決まってもそう言うような気もするのですが)誰のことも攻撃せずに、ニコニコとサポートし、優しくスウィートなキャラクターが伝わってきていたので、なるほど納得という感じです。「メタルゲート」事件の時に荒ぶるのでなくブスッとした顔になって黙って怒っているの赤ちゃんみたいで超可愛かったな…


歌うまドラァグクイーン頂上決戦コンペ、Queen of the Universeの宣伝を挟みつつ(6月スタートだそうですが、前回はリアルタイムでwowには来ず、結果が出て半年後くらいに来たので今年はどうなるかな〜)そろそろファイナルリップシンクかな…と思っていたら、予想していなかった、とても嬉しいスペシャルゲストの登場!優勝者だけを集めた神々の遊びこと、昨夏行われたオールスターズ7の覇者であるジンクスが、ブロードウェイのミュージカルCHICAGOで監守ママ・モートン役としてパフォーマンスしている"When You’re Good to Mama"という曲を生演奏をバックに生歌で披露してくれました!圧巻!のびやかな歌の素晴らしさも言うことなしなのですが、10年前にs5勝利直前にルポール御大との面談で今後のキャリアでやりたいことは?と問われ「ブロードウェイでドラァグするのが始めた頃からの夢」と答えていたシーンが放送されたのを見て、あの頃からの、いやもっと前からの念願の夢を叶えたんだな…!という思いで本当に胸いっぱいになりました。ドラァグレース出身でたくさん活躍しているクイーンがいるけれど、間違いなく最大級のスターだと思います。ジンクス、AS7の活躍も素晴らしかったけど、お外でもばっちり結果を出していて格好いい!


さぁ最終決戦です。白いボディスーツに赤いハートが印象的なアニトラ様、そして黒いエレガントなファーの帽子とコートで登場のサーシャ様。ここのところ、フィナーレでのリップシンクは「どれだけインパクトのあるリヴィールができるかどうか」が勝負を分けることも多く(s9のサーシャが歴史を変えましたからね…)白と黒の色の対比だけでなく、ほぼ丸腰なのでは?と思わせるアネトラ様と、絶対中からすごいの出てくるぞ…と言うサーシャ様(でもシルエットの美しさが完璧なのが流石!)という意味でも対照的だなぁと思いました。曲は"Knock on Wood"…幸運が続きますようにというおまじないという意味の言葉で、エイミー・スチュワートによるディスコアレンジバージョンはゲイアンセムの一つとして愛されているバージョンなんだそうです。

始まる直前、笑顔のサーシャ様に対し、アニトラ様がいつものアサシンの顔だったので一瞬笑ってしまったのですが(ごめんよ大好きだよ)始まるやいなや紫のガウンにリヴィールするサーシャ様、そして笑顔も惜しまず表情豊かに表現するアニトラ様、二人とも良くて見惚れている一瞬のうちに、サーシャ様が紫のガウンを真ん中から割り、ほぼ裸に飾り程度のジュエリーという姿になったので、呆気に取られてしまいました。こ、こんなに露出度の高いフィナーレ衣装が今まであっただろうか!?ご本人の後からのインタビューによると「今この時代に、トランスフォビアの人が根絶しようとしている、トランスとしての裸を見せることに意義があると思った」とあえてその美しい裸身に近い姿を最後のパフォーマンスで見せることを選んだと語っていて、深いなぁ…と考えさせられてしまいました。自らを縛るものをほぼ無くして、代名詞のヘアフリップで髪の毛も自在に操り、自分の脱ぎ捨てた黒いコートの上で官能的にパフォーマンスする様、まさに女神のようでした。そしてアニトラ様〜!この人は根っからのパフォーマーなのだな、アスリートなのだな、と思わせるように、自分の体一つで踊り、技を決めていく(一瞬膝が心配になるシーンがありましたが)その姿には、サーシャ様とは違った意味での裸一貫で勝負するという心意気を感じました。最後、ハートの部分から長いリボンを取り出し、それを振り回したり巻き取ったりする表現も、新体操のようで、ただギミックを出すだけでなくそれを自分で制御して操るのだという強い意志を感じで、らしいなぁ…と思いました。二人とも自分らしい良さをしっかり出せたいいリップシンクだと思いました、しかしあっという間すぎた…!刹那の戦いすぎる…!


優勝はサーシャ様…!優勝コメントの「この優勝は過去、現在、未来、全てのトランスの人たちに捧げるもの、だって、私たちはどこにも行かないから!」と言う強いメッセージにも感服しました。応募時点でオープンリートランスのコンテスタントが初めて出演できたのがs13(ゴットミク)、そしてs14での自分のドラァグドーター・ケリーちゃんの出演を受けて、波が来ているな、ここだな、と思ってs15で初めてドラァグレースのオーディションを受けたと言うことで、出演が発表された途端に「あのサーシャ・コルビーが出るぞ!」と話題もちきりで、期待や応援の声も多く、同時にサーシャと同じシーズンにでるクイーンは大変だなと言われていた分、プレッシャーも尋常じゃなく高かったのではないでしょうか。実際にはトップレベルの成績でフィナーレに進出し、カリスマ・ユニークネス・ナーヴ・タレントも申し分もなく、サーシャが獲らずして誰が獲る、とすら思わされましたが…もしかしたら予想通りすぎて面白くない、なんて思う人もいるかもしれませんが、でも私はこれだけ強いオープンリートランスの出場者が、トランスであることをこれ以上なくアピールして誇るような勝ち方をしてくれたことは「アメリカの」ドラァグレースの歴史の中で大きな意味のあることだと思います(他国ではもっと前に実現していたことですが、やっと…!と言う感じですね)


また、ベテラン・今シーズン最年長であるサーシャ様が冠を獲ったことの意義を感じると同時に、ファイナリストたちの若さにも本当に希望を感じます。出演時点でアネトラ様25歳、ラックス22歳、ミストレス24歳…!若くて伸び盛りのはずなのに、これだけの完成度でフィナーレを彩ってくれたと言うことで、もうオールスターズ界隈が手ぐすね引いて出演のタイミングをはかってそうな気がしますが…きっとまだまだ成長して、もっとすごいものを見せてくれそうだ、と言うことも楽しみにしています。もちろんファイナリスト以外の出演者たちもね。初期の40分時代にサシェイしちゃったクイーンたちの魅力を伝えるs15特別延長戦レースやらない…?(やりません)

 

 

そんなこんなでs15も終わり、このブログも一旦一息つこうと思います。ありがとうございました。

ここからはちょっと個人的な話ですが、ちょっと一年前くらいから生活がバタバタする中騙し騙し仕事育児家事趣味をなんとか回していたのですが、ついに春に心身のバランスがどうしようもないレベルで崩れてしまって(通院、投薬などできることはしているので、ご心配なく…)今までなら30分時間が空いたら絵を描こう!寝かしつけの時にブログ書こう!みたいな日々だったのですが、もう体力的に15分でも時間があったら横になりたい、眠りたい…みたいな状態で。書きたい気持ちはとてもあるのですが、ブログ更新などは無理のないペースで、まずは睡眠と心身の回復を最優先にしばらくは過ごそうと思います…オルスタ8のキャスト発表も出たし、5月末にはパンジャイナ様とラジャ様とデナリちゃんが来るし…のんびりでも確実に元気にならねば…!(各国フランチャイズドラァグレースもマイペースに追いかけて見てます!ご安心を!)