あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

RuPaul’s Drag Race Season12 ep9"Choices 2020"感想

はー、今週も泣いてしまった…

メインチャレンジ、皆さんどう見ましたか?個人的にはちょっと肩透かしを食らった感じで。選挙イヤーだし、ep1冒頭にも偽トランプ入れてきてたし、政治的なチャレンジが入ることはなんとなく予想していたし、期待していたのですが(私自身が政治フレンドリーな人間かというとノーなのですが、s4もs8もアメリカの政治事情?みたいなのを面白おかしく誇張して伝えてくれていて面白かったのですよね)今回はちょっと、うーん、なんとなくすっきりしないというか…
「その人らしく」「面白く」キャンペーンを切り抜けるというのが今回求められていたのだろうな、というのはわかるのだけど、そして「Look over there!」で切り抜けるのも面白くはあったのだけど、でも「混乱」を政治主張として、結局主張の中身がないジェイダが勝ってしまうのがわりと納得いかない…(Teamジェイダなんですが…)
冒頭の通り期待していたので、番組として求めていることの薄さにびっくりしてしまった!
とはいえ今回じゃぁ誰がよかったの?と言われるとみんな甲乙付け難く、今まではわりとみんな良くて誰も落とせないよね〜的に感じることが多かったのだけど、今回はみんな良いと言える決め手がない感じで…60点から70点の戦い…みたいな印象でした。自分がWinnerを選ぶなら誰かな…GAPをうまくスローガンに使ったハイディかな…でもやっぱりジェイダの返しの上手さ、困った時に迷う間もなくぶん投げるところは評価できるんだよな…やっぱりジェイダなのか…でもなぁ…

ボトムも、笑いに持っていけずマジな雰囲気を持ち込んでしまったウィドウはまぁ仕方ないのかもしれないけど、カナダネタですぐ飽きた!と言われてしまったジャッキーのほうがジジよりもユーモアに富んでいて笑いを取っていたのでは?と思ってしまった。まぁ前回もそうだったけどジジには今までの貯金があるから仕方ないのかもしれないな、というのと、やっぱりAmericas Next Drag Superstarを選ぶという番組だから、アメリカじゃなくてカナダアピールして、ランウェイもヒジャブで歩くというのはもしかしたらマイナスポイントだったのかもしれない…私は多様性を認めるという意味で高く評価するべき点だと思うし、ジャッキーはずっとカナダネタだったかもしれないけど、毎回ちゃんと返しを変えていてウィットに富んでいて、むしろtop3入るやろ〜って感じで個人的にとても評価が高かったんだけどな…そもそもアメリカを打ち出すようなチャレンジ、他国に籍のある人間にとって不利な設定なのでは…?

と、ここまで私のあまりない政治感覚で感じたことを書いた文ですが、私が今とても信頼している書き手であるYuh. Sさんがnoteで三回にわたって、今の時世、今の政治状況などにも触れつつこのep9のレビューを書いていらっしゃるので、ぜひぜひ読んでください。彼女の文は毎回素晴らしいですのですがこの回は特に好き。

RuPaul's Drag Race Season12 Ep.9|Yuh.S(ユウ) #note https://note.com/y_dragracefan/n/n95141f67571b

ランウェイはみんな良かった〜本当s12はみんなルックが安定している…私はクリメシちゃんが一番好き!アイラインが赤いのめっちゃ可愛かった。ウィドウの星条旗の方向に持っていかず黒人文化にエンパワーするアプローチもよかった。ジェイダはあのスタイルのよさが無かったら活かせないすごい衣装だったね…!あれ着られる度胸もすごいし着こなせるの本当に凄いと思う…。
そしてジャッキー!untuckedでこれを着るのは怖かった、と言っていたけど、星条旗モチーフのヒジャブ、本当に素敵だった!!この明らかにアメリカ的解釈を求められているランウェイテーマの時に自分のルーツのイスラム教要素を入れることは勇気が必要だったと思うけど、美しかったし、どれだけ同じルーツの人に希望を与えることか!と思った。ジャッジのジェフ・ゴールドブラム(Wikipediaによると67歳194cm)の発言が波紋を呼んでいるみたいだけど、私もちょっと立ち入りすぎというか、デリケートな範囲にズカズカ入るなぁと思った(けど無知識ゆえの無神経な質問で、s11のときにアケリアさんがメルセデスムスリムは教会に行かないの?って質問してたときみたいな感じなのかなぁと思う)けどそれに対するジャッキーの返しがとても胸に詰まるもので、本当にジャッキーは頭が良くて、論理性と気持ちが繋がった回答ができる人で、それが人にきちんと届くなぁ、と、ジャッジへの批判より先にジャッキーの凄さに目が行ったのでありました。s11も初めてのムスリムクイーンであるメルセデスがいて、彼女もたくさんのクィアムスリムに勇気を与えたと思うけど、ジャッキーはさらに具体的な言葉で代弁してくれているような気がする…!

そしてリップシンク。私は泣きましたよ…なんて伝わるリップシンクなんだ!!歌詞が分からなくても言葉が違っても伝わる、コミカルな前半から、説得力のあるbメロの表現、そしてサビでの明るい花火のような華やかな動き!素晴らしかった。短絡的で浅はかな私は最初Revealするのかな?なんてことを考えていたのだけど、いや私がバカだった。星条旗柄のヒジャブを着た、女装した男性が、そのまま、力強く、曲を伝えようとすることの美しさ。これ以上のパフォーマンスはないんじゃないかと思った。本当、s12はリップシンクがちょっと小粒かな?と思っていたのだけど、この二回で完全に払拭しましたよ…ウィドウも失いかけていたように見えた気力を振り絞って、最後まで魅せるパフォーマンスで、かっこよかった…

ウィドウ。ウィドウはね、本当ドラァグレースの魔物にハマってしまったというか…ep1が本当に良くて(プロモの写真が個人的にピンと来なかったので、めちゃめちゃ評価が急上昇した)そこからどんどん自信を失っていくのが本当に切なかった。ルーが声を荒げること、たまにあるし、特にルーは言い訳が好きじゃないし、その人が自信をなくしている時に特にちゃんと聞きなさい!的な励ましの意味で語調が強くなること、少なくないんだけど、今のウィドウには本当に辛いだろうな…と苦しくなってしまった。すごくすごく真面目な人なんだろうと思う。最後の鏡の前のコメントも、頑張ったんだ、って言ってて、その上で出てくるのは、でも評価されなかった、っていう恨み節じゃなくて、もっと頑張ればよかった…って言葉で、その震える声でまた泣いてしまった。
untuckedでジャッキーにもっとコネクトしたかったって言われて、毎週一人ずついなくなるのにそんなに心を開いて話せない、って言ってたけど、そして、ep1でジャッキーやブリタと振り付けでぶつかったときや、ep5で希望の役を自分でなくシェリーに振られてしまったときや、ep6でスナッチゲームで準備不足ってジャッキーとシェリーに言われたときも、コンフェッションで悪態はつくけど人には直接強い悪意をぶつけなくて、喧嘩にならないからウィドウは大人で偉いなー、優しいなーなんて思っていたのだけど、そうやって人にぶつかれないこと、心を開けないことはむしろ彼女の脆さの現れだったのかもしれない。もし誰かに甘えられていたら、一人で抱え込まずにいたら、ドラァグレースの魔物にはまり込まずに前を向けたのかな…
求められることを読み取ってadjustすることが求められる、このドラァグレースという舞台では、機転がきいて頭の回転が速い人の方が順応しやすくて、彼女みたいな真面目なタイプはしんどかったんだろうと思う。でも本当に素晴らしいパフォーマーだから、これからも安定したウィドウさんの姿を見られる機会があるといいな…

はー話は完全に前後しますが猫ちゃんのミニチャレンジの束の間の癒しっぷりよ…本当に束の間だった。最近ミニチャレンジがないか、あんまりミニチャレンジからメインチャレンジへの恩恵的なものがなくて繋がりが薄いか、みたいな感じでちょっと残念。かわいいはかわいいでいいんだけどちょっと物足りない!たのしいやつやろうよ〜!!
あとブロッコリーね!もうすっかりレギュラーですね。早期サシェイの屈辱なんてもうどうでもよくなる大活躍ぶりで、スタイリッシュなダリア的にはおいしいと思えているのかそれともはたまたしぶしぶやっているのかが気になるところです。個人的にはネタバレ防止になるのでnoteのサムネイルに使いやすくてとても助かっています…w

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