あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Drag Race España Season 1 episode 3 "Mocatriz"感想

*このブログは多大にネタバレを含んでいます。ネタバレしたくない方はここで引き返すか、以下WOW Presents Plusのリンクから本編を見てから読んでください*

 

 

 

 

 

I'm watching Mocatriz on WOW Presents Plus http://www.wowpresentsplus.com/videos/dresp-mocatriz

 

 

 

 

 

 


朝起きてから夜寝るまでほぼ携帯を握ってツイッターを見ている依存症気味の私ですが、月曜の朝に限っては「エスパーニャの更新を見るまでは…!」と唇を噛んで耐えております。別にネタバレ絶対嫌だ!ってほどではないんですけれど、でもやっぱり新鮮に見られる喜びっていうのは存在するわけで。先週に不穏な予告を見てビクビクしながら本編を見始めて、途中ではすっかり忘れて楽しく見て、最後10分くらいで絶句してしまいました。結構ショッキングだったんですけど、それでもやっぱり「エスパーニャ、楽しい…」って結論に至るので、本当に素晴らしいシーズンだなぁ…と思います。


今回、サッカーのユニフォームを使ってクイックドラァグするミニチャレンジを挟みつつ(結構なメンバーがサッカー!?無理!!ってなっていたのが可愛くて仕方なかったです。あとミニチャレンジなのにカジュアルにミシンがけしてるカルメンさんの完璧主義っぷりに笑っちゃった)本チャレンジはアクティングチャレンジ!それぞれ老女、グラマー、オゲレツ(Nastyってどう表現すればいいんだろう!?お下品?キテレツ?衣装から想像した感じだと、ちょっと前のアングラ?サブカル?って感じで扱われてた感じのジャンルかな?)、アバズレ(Hookerという単語も毎回翻訳に困ります…売春婦、は好きじゃないんだけど、でも娼婦?んー?ビッチは日本と日本外だとニュアンス違うし…みたいな)の4チームに分かれて、雑誌の表紙撮影と、小芝居をやるというもの。途中でランニングマシンみたいなの走らされてましたが、出来上がりの映像では全然使われてなくてあれはなんだったんだ???ってなりました。

チーム分けはミニチャレンジ勝者のキラークイーンさんが散々悩んだ上で自分の老女チームにはジョークへの返しが早いとアランチャを選択。グラマーチームはカルメンとドヴィマ、オゲレツチームはプピとウガセオ、アバズレチームはインティとサヒタリアと、割と意地悪せず本人たちが演じやすそうなキャラクターに割り当ててるのかな?という印象でした。


演技中の様子を見ていると、ちょっと苦戦しているかな?と思った人も何人かいたのですが、最終的にまとまった状態で見たら全部面白かったですね!編集に番組側の良心を感じました。でもこんなに出演者同士がキスを、ベロベロと濃厚なキスをしているのを初めて見た。スペインはパンデミックに巻き込まれなかったのだろうか(多分収録前に隔離とかしていると思いますが)

老女チームはキラーさんの面白さが光ってた!割とワークルームとかでは主張しない方だったので、こんなに弾けてくれるのを予想していなかったので本当におかしかったです。死ぬ前にお手手を胸の前で合わせるところで私も笑い死ぬかと思った。グラマーチームは割とそつなくこなしてたかなと。ハビエルは同じぬいぐるみを別の女にプレゼントするな!オゲレツチームは二人ともオーバーリアクションが最高におかしく、アバズレチームはサヒタリアちゃんが大活躍。コメディもいけるの意外でしたが面白かったです。インティも頑張ってましたね…!私は男の人とまず電話で甘い声で話してて、お母さんの電話に切り替えた時に地声になってるのがとってもリアルで好きでした。

サヒタリアが勝ちましたが、これはルックとの合わせ技かなと。アクティングだけだったらプピさんに軍配があがるのではと思いました。


ランウェイは自分のルーツを表現しろ!というもの。UKだとご当地紹介ルックというのがシーズン序盤の定番ランウェイテーマなのですが、その人のルーツを深く知れて大好きなテーマです。今回特に「ご当地」という指定じゃなかったので、ノンバイナリーフラッグの色のイエロー・ホワイト・パープル・ブラックを使って自身のジェンダーアイデンティティを表現したウガセオさんなど、面白いアプローチだなぁと思いました。ウガセオさんはいつも変化球投げながらいいコースに入れるのですごいなぁ…。

他に好きだったのはクレマカタラーナを表現したサヒタリアちゃん(固いプリン党なので硬いカタラーナは大好きで知っていたのですが、クリームブリュレっぽいやつもあるのですね!むしろこっちが主流?現地も固いプリン党とプリンは飲み物党が争っていたりするのかしら…?)、鴨がネギ背負ってきたならぬチーズが生ハム背負ってきたアランチャ、盛りすぎだと言われてたけどもっと衣装やメイクのバリエーションが褒められてほしいキラークイーンさん、そしてボリビアのお祭りの華やかな美しさを表現したインティでした。


そう、インティ、めちゃめちゃ良かったと思うんですよ…!自分の文化の外にあるものを評価することの難しさを改めて感じました。私はあの白いドレスとブーツで充分だったと思うし、むしろあれ以上だったらトゥーマッチだったのではと思います。もし仮に私がジャッジだったならポンチョの背中側のデザインが華やかで素敵だからもっとそれをアピールできるプレゼンテーションをしたらどうかな?って提案をするかな、と思いました。またスペインとボリビアの関係が、植民地支配した側とされた側だからね、ちょっと入植側のジャッジがアンデス文化のお祭りに基づくルックについて批評するのは、だいぶデリケートな案件なのではと思います。前回もカナリー島特有のドラァグスタイルを通したいヴォルカノさんに「プラットフォームを脱いでヒールでパフォーマンスするところを見たい」と批評してボトムにしていたりしていたこともあって、エスパーニャは違う文化に対しての理解と尊重という観点においてはもしかしたら少し課題があるのかもしれないな、と思っています。とはいえ、批評自体は否定ではなくとても建設的な意見ばかりですし、ジェンダーアイデンティティの観点やアート的な多様性に対しての理解が高いのでジャッジに対しての信頼度は高いのですが…

(余談ですが、文化の盗用については自分の関心度が高いのですが知識が足りず、もしよい参考文献あればぜひ教えてほしいです…他の国の文化を剽窃することだけでなく、他の国の文化を自分の国の基準で評価することの是否についての論文とか読みたいです…)


先週も自分のジェンダーアイデンティティと課題との間での葛藤があり、そして今週もジャッジングの中で自分自身で消化できない部分があり…年若いクイーンでもあり、インティが心折れてしまっても、それは仕方なかったのかなぁと思います。もう一つ、今回のジャッジングでちょっと気になったのが、一通り批評が終わった後に4人残して、明らかにtop2と bottom2だとわかるような形でもう一批評あったのが、ボトム側の人にはちょっとキツかったかなぁと思います。もし最初の批評が終わってそのまま全員下がらせていたらもう少し違ったかなぁ、せめて6人残して、誰がリップシンク組かがもう少しブラックボックスの中に残されていたらなぁ…と思ったりしました。それでも結末は変わらなかったのかもしれませんが…

今年はもうすでに一回、別シーズンで、リップシンク放棄してレース離脱、という展開があったのですが、その時はステージに上がるまでは何事もなくポーカーフェイスで過ごしていたし、本人も「そういうことをした人が今までいなかったからアイコニックかなと思った」とのちに語れるくらい、諦観の中に余裕があったと思うんです。でも今回は、インティの心を守るために必要だったことで、例えば今回折れた心でリップシンクの場に無理して立って、勝ったとしても、きっとレースを続けられる気力も残ってなかったのではと思って。なので、もう、尊重して受け入れるしかないことだったのかなぁと感じました。番組側が無理にやらせようとせず、インティの選択を尊重したことに私は感謝しています。スプリームさんがインティと話して去っていくときの表情、色々な感情が混じっていたと思うのですが、私は座長としての責任感、Show must go onの精神を全うしようとする決意を強く感じました…(あくまで想像ですが)これも本当に尊いことだなぁと思います。


残り10分くらいのところでこんな辛い展開どうするの!?と思いきや、もう一人のリップシンク候補のドヴィマが私一人のショーが見たいの?お望みならやりますよ!って重責を引き受けてくれて(ドヴィマ、本当カルメンが言う通り「ヴィランぶってるけど本当はそんなに悪い子じゃないでしょ〜?」って感じですよね…本人の打ち出してるキャラ的なこともあり色々あるんでしょうけど、すっきり好きになりたいのにな〜!という歯痒い気持ちで見ています)最終的には他のメンバーも加わってジャッジも総立ちのハッピーなステージになったのが、ありがたいなぁと思いました。それ以上に、本編最後にインティのコンフェッションを挟んだり、レース離脱したクイーンが語るTras la carreraのコーナーにちゃんと参加してくれたり(普段余裕がなくて見ないで終わることがほとんどなのですが、今回は即見に行きました)あの瞬間に無理になって離脱してしまったけど、トータルとしてドラァグレースの経験がもう関わりたくないくらい嫌な思い出にはなってないのかな?って思えたことが何よりの救いでした。本当、レースのフォーマットに合わなかったとしても、素晴らしいドラァグであることは誰にも否定できないことなので、これからも自分のやりやすい形でキャリアを重ねていってほしいなぁと思います…

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次回リーディングチャレンジからのスナッチゲーム!両方ど定番で楽しみ!…という気持ちよりも正直、次回でもう折り返し地点に来てしまうということに衝撃を受けています。えっもう半分?早くない?もうずっと見てたいんだけど…私たちの心の癒しエスパーニャ…この後AS6という間違いなく感情を揺さぶられるシーズン(「荒れないASはない」という名言が最近生まれました)が来るからせめてそれが終わるまではずっとそばにいてエスパーニャちゃん…!!(無理です)