あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

オルスタ6のep12のざっくりした感想〜フィナーレ!お疲れ様でした!

ついに楽しい楽しいオルスタも最終回!もう先週の時点でTOP4誰が勝っても祝福できる境地でしたが、いやはや本当に最後まで誰が勝つのか分からない、そんなシーズンでした。

最終チャレンジは毎回恒例、ルポールの曲に合わせて自作の歌詞を乗せてパフォーマンスをするというもの。今回、カントリーの曲ということで、か、カントリー!?と一瞬思ったのですが、私の中にあったカントリーというジャンルの知識が狭すぎただけでした。ごめんよちょっとカントリーを舐めていた!!もっとバンジョーフィドルで西部劇、みたいな感じの連想をしてたのですが、現代でも楽しまれている音楽なので当然、現代的にアップデートされているのですね。いやー予想以上に格好良かったです。


正直あんまりバッキバキの曲だとダンス得意なメンバーと不得意なメンバーで差が出てしまうのかな、と思ったので、そういう意味でもどちらかというとステップや振り付けの難度で魅せるタイプの楽曲でなかったことが、それぞれのパフォーマンスを味わい深くしていて良かったのかもしれません。

ユリーカは最初マリーアントワネット的な…って言っていたので、カントリーに?ってちょっと不思議だったのですが、歌詞に合わせてガウンの衣装を脱いでボディスーツになる演出が素敵でした。

ジンジャーは、ちょっとダンス心配だったりもしたんですけど、いやでも流石プロですよ、危なげないし、とにかく表情が明るくて華があるんですよね。バックダンサーの肌もあらわな男性達に囲まれてニコっとしてるの、本当に可愛かった。

カイリーはね、もうね、一番ハマってた。水を得た魚のようというか、カントリーミュージックってアメリカ南部の白人音楽がルーツなんでしたよね、南部ジョージアオールバニーという街が元々のホームタウンだったカイリーに特に親和性があって、本人は最初都会に越した時は恥ずかしかったと言っていたtwang…訛りというか、鼻にかかったような話し方というか、そんな感じでしょうか?それを活かして、少しはすっぱなバッドガール感がよく出てて素敵でした。

そしてラジャ、カントリーにゴリゴリのラップ乗せてくるところも痺れるのですが、私は全員の中で一番ラジャの歌詞が響きました。曲が(おそらく)リリースされて後世に残る、その大きなチャンスを黒人代表として伝えたいメッセージの件ために使う、素晴らしい!そういう自分の手に入れた力を自分のためだけじゃないもっと大きなものに使うの、本当に格好いいです。


パフォーマンスもみんな良くて、ルーとミシェルとの面談もよくて、最後のランウェイでのプレゼンテーションもみんな良くて…どうやって決めるんじゃい!と思っていたのですが、最後の最後のリップシンクでアクシデントがありましたね…!カイリーが脱いだ自分の衣装で足を引っ掛けてしまって、あっこれは王冠がその手からすっぽ抜けるパターン…!?と思ったのはわずかな瞬間だけで、次の瞬間にぐるりと見事なでんぐり返しに持っていくとは…!これが完全な勝利の決め手になったのか、と言われると、もちろんそれだけではないとは思うのですが、このシーズンのテーマであるRudemptionを体現するかのような、失敗を失敗とせずに昇華させるハプニングが強烈な印象を与えたことは間違いないと思います。またこの曲がね、S2のスナッチゲームでしくじったLady Gagaの曲っていうのも運命的なんだ…!


いやーよかったよかった、カイリー、最初に出たシーズン2からもう10年以上経つんですよ?あの時はもっとツンとしていたというか、あまり笑顔を見せずにギラギラしていた印象が強かったのですが、すっかり角の取れた柔和な表情で現れて、酸味の取れて甘く成熟したパフォーマンスをたくさん見せてくれました。今回のオルスタで好きだったランウェイ衣装は?って考えた時に、カイリーの衣装はスマッシュヒットだらけで、ずーっと目を楽しませてくれましたし、チャレンジでもS2ではあまり見られなかったvulnerabilityをたくさん見せてくれて、人間としてカイリーのことをより深く知ることができたのが嬉しいです。トランス女性が戴冠することの意義ももちろんとても大きくて、ドラァグって異性装だけじゃないんだよ、性別に関わらずできて、創造力と表現力で評価されるものなんだよ、っていうことをこの世界的番組の、強者が集まるオールスターズで示せるのは、素晴らしいことだなぁと思います。これがきっかけでツアーやプロモーション活動でトランスクイーンにももっとチャンスが増えるといいと思いますし、今後のキャスティングの幅も広がるときっとドラァグの幅自体もさらに広がって、より豊かな番組になるのではないかと思います。冠に相応しい人だということだけでなくて、その冠によって後に続く道を広くできるのって、誰にでもできることじゃないので、本当にこの大きなチャンスを素晴らしいパフォーマンスで掴んでくれて嬉しいです。

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優勝したカイリー以外もとても素晴らしくて、もう本当に全員に冠をあげたかった!(とはいえ白黒はっきりさせたい派としてはダブルウィナーでないことにはちょっと安堵しているのですが)私、最後の最後までTeam○○を決めきれなかったんですけど、皆がトラックレコードで残るクイーンを決めていたこのシーズン、私が成績で選ぶのであれば、ジンジャーかなぁと思っていました。後半の勝たなきゃ全員ボトムの展開になる前にジンジャーがボトムになったのは序盤のCM作成チャレンジだけでしたが、チーム4人連帯責任でボトムだったとはいえ、あの時もジンジャーはセーフで抜けてもよかったのではないか?というくらいのいい演技でしたし、とにかくコメディ系のチャレンジでは常に1人飛び抜けて良かったのですよね。ウィナーになった時のリップシンクも二つともばっちり勝ち星をあげてますし(今シーズンのベストリップシンクを選ぶなら、メイヘムとジンジャーのコミカルに電話を探すやつに一票です!)本当にこのオルスタでたくさんジンジャーのいいところを見せてもらいました。

でもトラックレコードではラジャも負けてはいないのですよね。本当今回ラジャはランウェイが全部よかった!ほとんどの衣装を自分で低予算で作ってきたと序盤に聞いて、もうそれからずっと尊敬の目で見ていましたし、2回あったデザイン・ソーイング系チャレンジで勝利しているのがもうその具現化力の証明であり、勲章だなと思います。S11の時点では編集のせいもあり、あまり伝わりやすいとはいえなかった良いところが全部このシーズンで出てましたよね、本当にたくさんファンが増えたと思うし、これからたくさん活躍してくれるだろうなぁと思います。s11はなかなかハードなシーズンでしたが、見返す人が増えて良いところもたくさん見つけてもらえますように!(あわよくばアケリアさんのファンも増えますように!)

ユリーカはお母様とのエピソードで最初から最後まで泣かされてしまって。ep1の天国のお母様に捧げるパフォーマンスから始まって、最後のルーとの面談で、s10の時は彼女が見られる最後のチャンスだと思って勝つことに拘って必死になりすぎていた、今回は自然に周りの人達を尊重して、自分でいることを大事にして、チャレンジを楽しめたって語って…大切な人との別れ、もちろん経験しなくて済むならそれが一番なんですけど、でも親は自分より歳をとっている以上、いつかは見送らないといけないわけじゃないですか、辛くないわけなんてないし、悲しいのは当たり前だけど、それでも笑顔で立って、誇りに思ってもらえる自分でい続けたいって努力しながら、自分らしく自然体で過ごす姿に本当に胸を打たれました。


はーみんな良くて最高のフィナーレ…だったんですが、私は本当は最後の最後には出演クイーン全員集合してほしかった〜!!!AS5のみんなでファイナルチャレンジの曲を作り上げてる感じがとてもよかったのと、やっぱりランウェイで最後に全員のいいところが見たかったのと、最後に優勝者をこのシーズンを作り上げた全員で讃えて欲しかった〜!!やっぱりね、優勝者を決めることだけがシーズンの意義なんじゃなくて、全員が優勝を目指してチャレンジしていいシーズンを作り上げることに意味があると思うんですよ。全員で作ったこのいいシーズン、せっかくなので全員で祝福して欲しかったです。リップシンクバトルのための待機ホテルで予算いっぱいいっぱいだったのかな…本当にそれだけ、それだけがこのシーズンの心残りです。


始まる前はこのメンバーなんだか荒れそうかも…?なんて思ったりもしましたが、そんなことは全くなく、穏やかに楽しくそれぞれの活躍を楽しめるいいシーズンでした。AS5もすごくよかったんですよ、でもなんとなく、ちょっとAS5は悲壮感というか、切実さというか、s9でもう少しのところで優勝を逃したシェイがいて、やっぱり素晴らしく安定したパフォーマンスで、これだけの活躍を見せてくれてるのにもしこれでシェイが勝たなかったらこの世に神はいるの?もし勝てなかったら精神的にどうなっちゃうの?みたいな思い入れで見てしまっていた部分があったので(もちろんシェイ以外のクイーンもとてもとても素晴らしかったですよ!私個人の思い入れの問題です…)AS6のそれぞれに得意な分野があって毎回いいパフォーマンスを見せてくれて誰が勝つか全く分からない感じ、ドラマを作るのでなくフェアにやっていこうとする大人の態度、アサシンの人選の素晴らしさ、クイーンの意地悪なところでなく暖かい内面を見せてくれようとするチャレンジ、とても良かったです。

まだコロナの影響かでなかなかツアーだとかDrag conだったりの大きなイベントは難しいと思うのですが、クイーン達が今回の大活躍をいっぱい讃えてもらえるような場がたくさんありますように!そして、今後またオルスタがある場合、今回みたいなシーズンだったら出たいなって思うクイーンが増えて、色々なクイーンの新たないいところが見られるオルスタのシーズンになりますように、いい例として続いてくれますように、と祈っています。