あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Drag Race Holland Season2 episode4 感想〜(今回ネガティブ感想です)

ありがたいことに、あきづきさんのブログは優しいって言っていただけることがあって。好きが原動力で続けている視聴と感想ブログなので、できるだけ好きが伝わるようなポジティブなことを書きたいし、あまり不満だらけにはしたくないな〜と常々思っているのですが、どうしても書かなきゃ自分がすっきりしない、そんな回もある。それが今回のブログです。メインチャレンジやランウェイは良いところもたくさんあったので、ああいやだな〜と思いながらモヤモヤポイントの言語化をしていこうと思います。主に三つ、残念ながら全て同じクイーンが、その人が悪い部分はないのにそれぞれの出来事に関わっています。


まず一つ目、リーディングチャレンジ。もちろん上手にユーモアでコーティングした嫌みをさらっと言って感心させてくれることもあるのですが、ローストチャレンジと同じで、許容できる悪口と、許容できない悪口のラインが曖昧だからこそ難しいと思っていて。やっぱり、肌の色だったり、国籍だったり、体型だったり見た目だったり、本人の努力ではどうにもならない部分をいじられるのを見るのは気分が良くない、でも番組の性質上「リーディングやローストはどんな材料でも使っていいもので相手を面白くギャフンと思わせればOK」という境地で見ようと意識をできるだけ持っていっているのですが、でも一発目でいきなり、ヴァネッサがアイヴィのことをコロナウィルスをネタにしていじったのが衝撃的で。この世界規模でまだパンデミックが続いていて人もたくさん亡くなり続けている中で、アジアにルーツがあるという理由だけで、それをネタにいじるって。そうやって結びつけられてヘイトが起こって実際に傷つけられたりしている人がいる中で、それをいじりのネタとして許容されるということを番組が流すなんて。同じアジア系だからより気になるのかも知れませんが、ちょっと許容できませんでした。カウンテスもアイヴィに「あなたもメイドインアジアだから大量生産的で安っぽいの?」って投げかけていて、それもアジア一括りでの雑な偏見で嫌だな、って思ったのですが、でもやっぱり今現在、日々の生活に直結して苦しめられて戦っている最中の、コロナウィルスネタがよりしんどかったです。奇しくも今回のランウェイテーマが"Statements on the runway"、それぞれの主張を語る表現をする、というもので、アイヴィが"Stop Asian hate"という主張で歩いたのが本当に皮肉だと思いました。制作側はこのランウェイで何を受け取ったというのだろうか…?

(後日追記。上記、アイヴィが不適当な扱いをされた、ということを書いていますが、アイヴィからタビサに投げかけたリーディングの中にもRacial slur…人種差別的な用語が含まれていた、という指摘をしている方がいらっしゃいました。なんかほんと、リーディングに適切なボーダーラインを明確に引けないのなら、無理してやらなくてもいいんじゃないのこのミニチャレンジ…という気持ちです…)


二つ目。ルージカルでアイヴィが充てられた人魚姫の役。人魚姫だから足がない、動けない、だから車椅子、という発想になったのだとおもうのですが、ちょっと安直だったのではないかと思うのです。実際に脚が不自由で、歩くことができなくて、車椅子の人がいる。その人たちが生きていくために、日常的に使っている車椅子を使って「車椅子なんて面白いアイテムを使ってのパフォーマンス、もっと面白くできた!」とジャッジすることは、ちょっと配慮が足りないんじゃないかな、と感じました。車椅子はそれを必要とする人が生活していくためのツールで、健常者がパフォーマンスを面白くするためのものではない、そういう使い方はcultural appreciation、文化の尊重よりもcultural appropriation文化盗用に近いのではないかと思います。なぜか舞踏会のシーンでは立って踊ってるし。なんなんだ。これも演じていたアイヴィ側の落ち度は全くなく、脚本演出を作った制作側の問題だと思います。


三つ目。リップシンクの結果についてです。前二つは制作側の良識、モラルの問題だと思いますが、最後のこれはフランチャイズとして、本家番組のスタンスの根幹を揺るがすような決定だったと思います。今までこの番組は10年以上、ボトムの二人が決まってリップシンクをしたら、もうそのあとはリップシンクの結果だけが判断基準になっていたはず。一番のボトムが明らかで、ボトム2は微妙なところで決まっていたようなときでも、ボトム1のほうがいいリップシンクをしたら、残りたい意思をリップシンクで示せたら、そっちが残される、そういうものだったはずです。(アビー…いやなんでもない)今回、編集したものを見せられている以上正確には分からないにせよ、どちらが良かったかと言われたら明らかにアイヴィだったと思います。それが70対60なのか、70対69なのかは分からないけれど。でもジャッジは、「リップシンクは良くなかった、だからチャレンジとか今までの成績を全部を考慮に入れないといけない。アイヴィはもう2回ボトムになって、素晴らしいリップシンクをしているけど、今回はその2回には及ばなかった、だからカウンテスを残す」という判断をして。一期一会のリップシンクをして、それで判断される、という大前提を崩すようなことをジャッジがわざわざ口に出さないといけなかったということは、逆説的に今回のリップシンクだけだったらアイヴィの勝ちだと語っているように見えました。いっそリップシンクが二人とも満足できなかったので二人ともサシェイと言われた方がマシだった。もしくは何も言わずにカウンテスを選んでくれていたら、何か編集では見えなかった部分でカウンテスが優っていたのかもしれないと自分を納得させようとできていた。番組的に残したいクイーンがいたりジャッジが気に入っているクイーンがいることも理解できるし、そういうこともあるよねと。でも今回ジャッジから「ルールを曲げます」と明言したことに私はとてもがっかりしました。それはドラァグレースが伝えたい根幹の魂の否定に近いのではないでしょうか。


最初に書きましたが、メインチャレンジは構成も面白く、音楽的にもメリハリがあって、みんなそれぞれ熱演していてよかったと思います。ランウェイも、素晴らしいテーマだと思うし、それぞれが伝えたい思いを表現していて、見応えがあったし、各個人の内面まで見せてもらえるようないいランウェイだったと思います。ウィナーになったプニさんは特に両方ともウィナーに相応しいプレゼンテーションだったし、勝ってくれて嬉しい。あとみんなでワークルームに入ってくるところとか、フレッドさんをみんなで敬うところとか、本当可愛くて愛おしかった。でも本当にモヤモヤの残るエピソードでした。今回全モヤモヤポイントに巻き込まれてしまったアイヴィ、役柄由来の2つ目はとにかくとして、それ以外は結局アジア系軽視されてるんじゃないの?舐められてんじゃないの?ああん!?とアイヴィのためにジャッジ席にエアメンチ切ってますが、彼女は何も悪くないし素晴らしい活躍だったと思います。ちゃんと残りたい気持ちを込めたリップシンクをしてるのに、リップシンクが悪かった、なんて言われたくなかったよ…悔しい。今シーズン1のuntuckedでシャー!って爪を立ててたアビーちゃんの気持ちです。アビーちゃんエンヴィ私もマーメイズマンションに入れて!そしてヤキ入れに行こう。湘南のヤンキー魂がフツフツと燃えておりますが(※このブログには一部地域に対する偏見を助長するような表現が含まれています)来週以降の面白さですっきり鎮火できたらいいなぁとは思っています。ちょっと一週間クールダウンしてきます…今回は怒りのブログですみません。

f:id:akzkiss:20210829012600p:image