あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Canada’s Drag Race vs The World ep1 "Bonjour, Hi”感想

今年の頭に波紋を呼んだUK vs the World、今度はカナダがホスト国だぞ〜!!噂になった時(5月のドラァグコンに参加予定だったクイーンたちが急に何人かキャンセルしてざわついていた頃…)は、一年に一回のシリーズにしていくのかな、来年公開かな?とか思っていたらまさか今年のうちに来るとは。クイーンがクイーンを落とすといういわゆるオルスタシステムでの進行で、UK版では優勝候補が中盤で続けて姿を消すという衝撃の展開でなかなかハートがジェットコースターだったのですが、今回は「そういうもの」という心の準備ができているから多分前よりも楽しめる、はず。カナダは私のお気に入りのフランチャイズだしね!ちなみにTwitterの仲間たちの間ではいつの間にか「カナダvsザワールド、略してカナザワ」と呼ばれています。天才。このブログでも採用させていただきますありがとう、言い出しっぺの人はご連絡いただければコーヒーくらい奢ります。

 

 

 

I'm watching Bonjour, Hi on WOW Presents Plus
http://www.wowpresentsplus.com/videos/cvw-101

 

 

 

さて出演クイーンはこんな感じでおます。

カナダs1のファイナリスト3人の中で一番応援してたリタ・バガさん

カナダs2のファイナリスト3人の中で一番応援してた、そして覇者であるアイシス・膝・クチュール先生

カナダs2の圧倒的アイドル、華のあるステージングと笑顔でTOP3になったケンダル・ジェンダーさん

カナダs2で実力があるのに初期サシェイとなってジャッジめアジアを舐めるでねぇ!って私を憤らせたフィリピン系のステファニー・プリンスちゃん

ダウンアンダーs1でやはり初期サシェイで惜しまれたチャーミングな面白クイーン、アニータ・ウィグレットさん

UKs3で気合の入ったリップシンクを見せてくれてパフォーマンスにすっかりファンになったヴァニティ・ミランさん

UKs3で全フランチャイズ初のシス女性クイーンとして出場して活躍を期待されるも序盤で負傷して(ヒザァ!)退場して涙を飲んだ(主に私が)ヴィクトリア・スコーンさん

s11ではヴィラン的編集で制作側に憤っていて、AS6で頑張り屋さんのところがたくさん映してもらえてファイナルまで進んでこれでヨシ!とさけんだラジャ ・オハラさん

AS6でs11で愛されなかったトラウマを吐露し弱さを見せて、リップシンク大爆進で見る目を変えさせてくれたシルキー・ナツメグガナッシュさん

以上9名のメンバーでお送りいたします。誰を応援していいか分かんないじゃないかバカー!!濃度に差はなくはないがみんな好きだ!!!

そしてジャッジはみんな大好きブルック・リン・ハイツ先生ですし、カナダはいつも制作サイドからいいものを見せるぞという愛を感じるので、カナダ通常シーズン同様に素敵な作りになるといいなぁ、と思います。


エントランスはみんな意外なくらいリラックスしていたのでちょっと面白いなぁと思いました。私自身もクイーンたちを知っていて好きなところからのスタートだから「この人はどんな人?」って思わず楽しめるし、クイーンたちも気負わずに入ってくる人のシルエットを見ては誰〜?って楽しんでいるように見えました。バチバチ感、全然なし。一回UKvs世界をやってみたことで、「ガチで威信をかけて実力で勝つ、世界一を決める頂上決戦」ではなくて「進行と運に左右されるけど一攫千金と名誉をもらうチャンスがある、各国乱れた大乱闘」くらいの認識になって、心理的ハードルが下がったのかなーと思います、出演者側も視聴者側も。みんな楽しめるといいね。


さて初回チャレンジはガールグループチャレンジ!いきなり超楽しいやつ!

キャンピィさで結ばれたリタさん、アニータさん、ヴィクトリアさんのグループ「Touché」はコミカルにまとめていてとてもチャーミングで良かったです。アニータさんはお尻をアピールするタイミングばっちりだし、練習時点はワタワタしていたリタさんが本番ではバッチリで良かった〜。バックアタックとかけてバガタック!って言うの天才だと思います。ヴィクトリアさんは伸びやかなお歌がとても素敵で、この番組でリップシンクの時に女声ボーカルが使われるのが当たり前なのに、こうやって実際にコンテスタントが歌ってるのは歴史的快挙じゃない?ってくらい感動しました。このグループは全員が違う国なのを活かして各国の挨拶を入れたり、ジャッジを巻き込むのがとても上手だったので、グループごとにトップを決めるのであれば私はこのグループが一番良かったと思います。


自然に集まったアイシス・ケンダル・ステファニーのカナダs2組「Maple She-rups」、まずはアイシス先生が私の大好きなピンクのウィッグ&私の大好きなツインテール&一番好きなオーロラカラーの衣装でビジュアル的に優勝でした、ありがとうございました。練習時点でちょっと振り付けしてるステファニーちゃんの要求値が高いかな…?という感じで、レベルの高い人たちが集まっているから、難しいことをやらなきゃ!というのは理解できたし、本番は少し難易度を下げてうまくまとめていたと思うのだけれど、残念だけどこのチームの中から二人ボトム入りという結果になってしまいました…良かったと思うんだけどなぁ…レベルの高い戦いだぜ…


ヴァニティさんが「自分のシーズンは黒人クイーン一人だったから嬉しい〜」といきなりなついていたシルキー・ラジャ・ヴァニティによるチーム「SRV」このチームはなんとなくダンス練習の時点から体がキレてるのを感じて、いい予感がしてました。みんなリズム感がいいんだろうな。ヴァニティの「黒人クイーン名前間違えられがち問題〜私の名前ちゃんと覚えて!」という至極当たり前で大切な主張の歌詞には痺れましたね!少し歌声は大人しいかな?と思いつつそれを補って余りあるダンスの華やかさ、素晴らしかったです。ラジャっちはブルックリンに歌詞詰め込みすぎでは的なこと言われてたけど、私は技術的に素晴らしい!と思ったしチャレンジングなのは評価されるべきだと思うけどなぁ。シルキーは登場時点から存在感たっぷり、ありがたい説法もあり、とても良かったと思います。


みんなエントランスも、ランウェイも、どちらも絢爛衣装で素敵でしたが、アイシス・王者・クチュール先生のランウェイガウンはちょっと別格でしたね、賞金もらってる人間はやっぱちげーな!w 「三千世界の鴉を殺し 主と朝寝がしてみたい」ならぬ「三千世界の駝鳥を殺し 主のガウンにしてみたい」と都々逸風に思ってしまいました。アイシス先生、ボトムに入ったら即狙われそうでファイナリストに入れるかは分からないなーと今から胃を痛めているのですが(クソシステムめ!)いる限りはごっつい金と手間のかかったクチュールを見せてくれるはずなので、できるだけ長く残って欲しいです。ずっとトップにいて〜Pangina'edされないで〜(また動詞化されるクイーン…)

あとはヴァニティさんの王冠のような鳥籠のようなヘッドピースが見事だったキルトのガウンと、王を失った喪服から私が女王じゃ!と主張するドレスにリビールしたシルキーの衣装が特に好きでした。あとラジャっちがいい紫色の衣装で出てくるとどんだけバリエーションあるんだ?って褒め称えたくなる。そしてステファニーちゃんのフィリピンルーツの衣装に関しては完全に加点対象で、あれ見てボトムに入れるの有り得なくない?とちょっと憤ってます。素晴らしかったやん!


しかしカナダは、ジャッジの言ってることはまあ分かるんだけど、最終的な結論がちょっと合わないなぁ…と思うことがちょいちょいあるのですが、今回も、あれその人たちがトップでその人たちがボトム…?と思ったりもしました(私ならヴィクトリアさんはトップに入れる、ボトムは難しいけどアニータさんを入れるかなぁ…唯一のDU勢を即帰したくないみたいな思惑がなくはないのかなぁ…)でもまぁ、トップ二人のリップシンクが面白かったから、いいや!

リタバガさん、s1の時はどちらかと言うと真面目キャラが時に見せるウィットの効いたジョークやオチョけた姿…的な、滲み出るおかしみ的な感じで見てたんですけど、こんな全力全開でおかしい人でしたっけ…?登場時点でもうおかしいし、リップシンクも全力でキャンピィだし、始まる時にも終わる時にも隣のヴァニティ先生も笑っちゃってるじゃないですか。正統派リップシンクをバチっと決めたヴァニティさんが勝って嬉しいと思うと同時に、リタさんもパフォーマーとして最高の仕事ぶりだなぁと思いました。しかし、賞金の出ないUKシーズンに慣れすぎて、リップシンクの勝利でご褒美に賞金を貰えると聞いてキョトンとしてるヴァニティさん可愛すぎた。UK組は本当、たくさんお金稼いで帰ってね…!


ボトムのステファニーちゃんとケンダルさんの間でヴァニティさんがサシェイ相手として選んだのはケンダルさんのリップスティック。UKs3ではたった一人の黒人クイーンで、マイノリティがそこに存在してレペゼンテーションすることの大切さは身に染みてわかっていたと思うので、ステファニーが「アジア人クイーンは私一人、だからこそ背負っているものをもっと見せたい」と訴えかけたのは相当効いたんだろうなぁと思いました。ケンダルさん、いつも明るくて場の空気を変える力のあるハッピークイーンで大好きなので、初回で離脱してしまうのは勿体無いよう、と思うのですが…大好きなカナダs2のスーパーアイドル、うう、もっと見たかったなぁ。


次回はいきなりスナッチゲーム!なんとゲストにカナダs1王者のプリヤンカが来てくれるようで、ブルックリンとプリヤンカという「カナダの産んだスナッチゲームただすべりクイーン」が二人もジャッジ席に並ぶことになるわけで、マジウケる〜と思っています。よかったね〜そっち側の席で!(Shade!)

そしてカナダのトルドー首相も顔を出すようですね…?一国の政治のトップにいる人が、ドラァグコンペティションの場に一瞬でもゲスト参加するって本当凄いことですよね…カナダはいつも出演クイーンの多様性へのこだわりだったり、制作側の姿勢に良いところがたくさんあると思っているので、これもまたいい方向に進むための力になるといいなぁと思いました。


その他メモ

・アニータさんが会ってすぐにさらっとキツいジョークかましたのを見て逆に「ウケるー!!!アンタ好きだわ!」っていきなりシルキーの心を開いていたり、その他クイーンともニコニコ過ごしていて、たった一人のダウンアンダーからの参加者なのにすっかり馴染んでいて、さすがミスコンジニアリティだな、愛されチャームが半端ねぇな!と思いました。


・アニータさん、リタバガさん、ヴィクトリアが集まって作戦会議してる時にうちらチームおばあちゃんだから!って言ってるの可愛かった。その前にリタさんとアイシスが顔を合わせた時もやだーおばーちゃん集まっちゃったーとかキャッキャしてて、年寄り自虐がこんなに嫌味なくチャーミングになるのって本当奇跡じゃない…?ちなみに今回最年長はラジャっちの37歳、最年少はステファニーの25歳でございます(ヴィクトリアは下から二番めの29歳)ラジャっちのフレッシュさも奇跡…白目キラキラなのすごくない…?


・ワークルームで話してた、ロンドンではあんまりドラァグショーの出演者にバリエーションがない、白人シス男性中心でクィアの中でもレズビアンは蚊帳の外感ある…とか、バンクーバーはショーをノンバイナリパフォーマードラァグキングやPOCなどを組み入れて多様性のあるメンバーで組まなきゃいけないという不文律があって、白人シス男性だけのショーは稀だよとか(素晴らしい)、アメリカはもっと出演者に多様性を持たせなきゃ、黒人クイーンも入れなきゃって強く主張できるようになってきたのはジョージフロイドが亡くなったあの事件以来で、2020年というごく最近なんだよね…という話とか、非常に興味深かったです。この中ではカナダがかなり特殊で、だからこそカナダは毎シーズン多様性のあるクイーンを集めて来られるのだろうなぁ、と思いました。せっかくだからシス女性のクイーンとかドラァグキングとかも出してさらに多様性を広げてほしいな!と思ったりするのでした。s4に期待しちゃうぞ!