あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Canada’s Drag Race vs The World ep4 "Comedy Queens"感想

衝撃の展開でしたね…まさかこんなことになるとは。でも尊重して受け入れられる自分がいますし、エピソード全体としてはとても楽しいエピソードで、それが救いだなぁと思いました。

 

 

 

 


Estoy viendo Comedy Queens en WOW Presents Plus

http://www.wowpresentsplus.com/videos/cvw-104

 

 

 

 


今回のミニチャレンジ、面白かった!ファンのためにメッセージビデオを収録するというもので、みんなチャーミングで全員に依頼したくなっちゃいました。カナダの国歌をカナダのクイーン以外が知らないのめちゃめちゃ笑った、特にヴァニティ先輩それハッピーバースデーやんか。ご存知の方も多いかと思いますが、Cameoという著名人から個人的なメッセージをもらえるシステムのことを思い出しました。登録しているドラァグクイーンも多いので、もし興味のある方いらっしゃいましたら、お誕生日のメッセージなどをもらったりしてみてはいかがでしょうか?あんな感じで自分のためだけにクイーンがメッセージを送ってくれます(リクエストすれば歌ってくれるクイーンもいますよ!)私も定期的に頼んで心の支えにしています。一部界隈ではクイーンに直接お金を還元できるのでふるさと納税と呼んでいるとか呼んでいないとか…推しは心の故郷…


https://www.cameo.com


メインチャレンジはスタンドアップコメディ!お笑い系のチャレンジはなかなかハードルが高いと思うのですが、ヴァニティさんが「オリジナルシーズンで帰ることになったチャレンジだ…」、s11ガールズが「自分のシーズンでやったことないやつ…」と少しビビる中「私、トリやりたい」と自ら一番難しい順番を志願するヴィクトリアさんに痺れました。結局順番決めでトリ前に配置されて少し不服そうでしたが、面白ければどのポジションでも輝きますからね…!大丈夫!


今回のジャッジでもあるブラッドさんの旦那さん、ゲイリー・ジャネッティ氏がコメディ指導に来てくれて(また「身内価格か…?」とカナダs3の予算不足の経験から疑心暗鬼になる私)準備した台本をそれぞれ見てもらって…という中、昨シーズンのスタンドアップコメディもうまく行ったし、と余裕そうにしていたアイシス(当時めっちゃウケてはいたたけど時間配分を間違えたことを私は忘れてないぞ!?)の用意しているギャグに反応があまり芳しくなく、でも本人の反応はもっとパンチライン入れて直さなきゃ〜くらいの感じで普通に見えたのです。でも事件はこの後起こりました。

翌日のメイクの際、一人だけ口数少なく、メイクをしながらももう明らかにしんどそうな顔で…ラジャが気づいて声をかけハグすると決壊して涙を流してしまい、「ちょっと疲れすぎた、頑張りたいけどもう無理、皆といるのは楽しいからオファーを受けたけど、ちょっと前回のシーズンから期間を開けなさすぎた、休憩が必要、自分の心も体ももう限界だ…」と。

確かによく考えるとカナダs2の撮影がおそらく2021年夏くらいで、放送が10月から12月でその間ビューイングパーティとかで忙しくしてて、その後本来なら1月からツアーの予定があって、それはコロナで中止になったものの間違いなく単発の出演機会がいくつもあって、そんな中で春の初めあたりの時期にキャスティングオファーがあったのではないかと思うのですが、そこから衣装の準備をして…と考えるとかなりのオーバースケジュールですよね…(元々、イタリアs1の優勝クイーンにオファーがあったものの言葉の壁でお断りされた分の1枠を埋めるためにアイシスに声がかかったみたいな裏話も聞くので、他の人以上に時間がなかったのではと思います)この収録がされていたとされるのが5月のDragconの時期で、自分の仲間のs2クイーンたちはそっちに出てファンの人たちと交流してエネルギーをもらっていて(トークイベントで揉めた話は置いといて…)そんな中自分が、この常に頑張らなくてはいけない、緊張下の中にいるのはもう耐えられなくなってしまうというのはよく理解できます。しかも自分と同じs2クイーンの参加者は最初の2epで帰ってしまっている(しかもステファニーは自分で帰した)んですよね、腹を割って話をしやすい相手も少なくなり、カナダ勢残り2人としての重責もさらにかかり、しかも昨シーズンの覇者として期待されている部分も多々あり…となると相当苦しかったのでは。もちろんこうやって私でも分かるような、表に見えているクイーンとしての活躍の部分以外にも、プライベートでの出来事もたくさんあったと思いますし…自分のメンタルヘルスと体調を大切にしたい、という思い、とてもよく理解できますし、カナダs2の時に学生時代かなり精神的に参ってしまった時期があって自殺さえ考えて、気づいたら病院にいたみたいな話も聞いていたので、本当にすぐにでも帰って!休んで!!と感じました。

もちろんこのシーズンで一番応援していたクイーンですし、大活躍して格好いいところを見せてくれていたのでそれをもっと見たかったし、二つ目の王冠を獲る姿だって期待していたのですが、でも体や精神状態を犠牲にしてまで賭するものでもないですし。本人にとっても辛い決断だったとは思いますが、私は理解するし、製作側が尊重してくれたことに心から感謝です…本当、it’s okay not to be okay, 「大丈夫じゃなくても大丈夫」だよ、全人類無理せずにいきましょう…

 

クイーンたちが全員受け入れて、みんなで抱き合って送り出す姿、思わず一緒に泣いてしまいました。一人「どうして?彼女に後悔してほしくないよ…」と少し困惑気味だったヴィクトリアさん、彼女は本当は続けたかったのに負傷によってリタイアしないといけなかったという経験を持つ人なので、たくさんの心残りがあったのだろうなぁということがその言葉から伺えてまた涙。そして、一緒に頑張ってきた誰かが抜けるということはもちろん周りの人たちにとってもショッキングなことであって、みんなで円陣を組んで勇気を出し合うのにもとても胸を打たれました。アイシスにとってはライフ・マスト・ゴー・オンであり、みんなにとってはショー・マスト・ゴー・オンであり、それぞれが覚悟を持ち直す瞬間だったと思いますが、最後までいいシーズンでありますように、と私も祈るばかりなのでありました…導きの言葉をかけていたシルキー、格好良かったですね。鶏口となるとも牛後となるなかれ、確かオルスタs6の時にも言っていましたが、今回もその故事からの引用のような言葉を言っていて、こういう時に学とリーダーシップが伝わるなぁと思いました。

 

(後日補足・Twitterのフォロワーさんから、この円陣を組んでいたところでシルキーが言ってたところは聖書からの引用を交えた内容である、と教えていただきました。ブログにて皆様にも共有させていただけることをお許しいただいたので、以下に紹介します。

〜以下引用〜

ざっくりですが考え方としては、神様から特別に愛されている私たちは世の中に出ていって神様の素晴らしさを輝かせよう(love, joy, peace はセットで聖書によく出てきて人間的なものよりもっと大きい感じ)'because we are the head, not the tail, and all things should be added on to us.' の辺りは大まかに言うと神様から特別に恵みを与えられていることを旧約聖書からの引用で言ってると思われます。(ほんとにざっくりですが…選ばれしイスラエルの民に向けて言われてる部分です)

(今いる5人のクイーンはバックグラウンドも様々かと思いますが、あのように手を取って円になり祈りの姿勢をとることは教会の文化の中でとても一般的で(シルキーやラジャの育ったブラックチャーチは特に)、きっと欧米文化に普遍的に浸透してるものかな〜と見受けました。私は海外在住歴ないんですが 太平洋圏の色んな人がいるキリスト教会に通ってます)

〜ここまで引用〜

…勉強になりました!!シルキーはs11の頃からDr. reverend Silky Ganache、牧師博士と呼ばれてましたもんね。あの円陣は全員団結の意味だけでなく、祈りの姿勢だったのですね…こうして教えていただけると解像度が上がるので本当に助かってます、本当にありがとうございました!)


さて悲しみを乗り越えるかのようにスタンダップコメディスナッチゲームはあんまり奮いませんでしたが、今回は全員面白く見ていて楽しいチャレンジでしたね!メガネが可愛いラジャっちは明るく盛り上げ、コメディそのものとしてはネタが少なかったかもしれませんが、最初のオープニングとして温めるのには充分すぎるほど場を掴んでいたと思います。ヴァニティは最初少し緊張が見られたものの、イギリスとカナダの比較やカナダ人の寛容さをネタにしたブラックジョークから定番のKnock knock! までたくさんネタを入れ込んでよく頑張っていたと思います。リタさんは最初フランス語で捲し立てた後のオー!の可愛かったことよ…その後の勢い付いた下ネタも最高だったんですけど。でも下ネタといえばその後のヴィクトリアさん、ホントすごかった。今までドラァグレースの歴史でなされたことのない、エゲツない女性器ジョーク、生理ジョーク、体型ジョーク、そしてものごっつい下ネタ…!先の展開を書いてしまうんですが、一本指から始まったハンドサインが番組終盤ではゲンコツまで進化して、私は大爆笑してしまいました。本当、前回も褒めたけど、ドラァグレース初のシス女性クイーンが、これだけ世の中で通常女性がいうとタブーみたいな感じにみなされることを堂々とステージの上でコメディとして昇華させてドッカンドッカン笑わせてくれること、これだけ痛快なことありますでしょうか?また一つドラァグレースの歴史に風穴を開けてくれて、もう一生ついていきます…。シルキーのブルックリンお宅訪問の話も面白かった、最後の瓶投げたところはヒヤっとしちゃったけど(失敗して落ちる場所まで全部計算ずくだといいな!私近くの席に座ってたら絶対口から心臓飛び出ちゃう)何が面白かったって最終的に全部作り話だったってのが面白かったです。でもブルックリンのところの自由な猫ちゃんならキッチンカウンターにも乗りそう。インスタとかでたまに見せてくれるブルックリンのところの猫ちゃんたち大好き…


プレードという細かい格子柄が課題のランウェイもみんな全体的にカジュアルで可愛かった!私はヴィクトリアさんのが一番遊び心もあって好きでした。(ちょっとs14のファイナルのことを思い出したりしましたね…)あとラジャっちが差し色に使ったゴールドをメイクでも効果的に使っていたのと、お供の犬まで共布でお揃いの衣装を着せてたのが最高でした。

トップはepと同じくヴィクトリアとシルキー。今回は納得の二人だなあと思いました。ボトムはラジャとヴァニティ、でもこの二人もいつものスタンダップコメディーなら及第点レベルだったと思うので辛い…!

今回は(もちろん誰にとってもこの選択は毎回辛いと思いますし、ヴィクトリアがしんどくなかったとは言いませんが)特に、ガールグループチャレンジで3人で一緒に組んでmelanated girls!と絆を深めていたラジャとヴァニティのどちらかを選ばなくてはいけなかったシルキーの方が辛い選択を強いられていたかもしれません。ラジャは自分がドラァグを辞めようかと思った時に支えてくれた人で(s11で二人ともヴィラン的な編集を受けていたので、おそらくその後の結束は深かったのでしょう)ヴァニティが「UKではまだまだ黒人クイーンの露出が少ない中、自分が残ることはUKのPOCクイーンたちの希望になる」と語るのも白人クイーンに比べると与えられるチャンスが少ない黒人クイーンとして心に響いたと思います。トラックレコード的には二人ともTOP1回ずつ、ヴァニティはリップシンクも勝ってるので加点・でも一回ギリギリボトム2を逃れてるので若干減点、ラジャはこれが初めてのボトム、そして今回のチャレンジ的にはおそらくラジャの方が少し評価が良かった…となると、本当に難しい選択だっただろうなぁ…

一人セーフで飲み物をチューチューぶくぶくしたり、一人せっせっせしたりお昼寝したり…とのんびりしていたリタさんだけが平和そうで癒しでした。


リップシンクも二人とも良かった!今回は前回よりもハラハラする瞬間が少なかった気がします。文句があるとすると商品がお金じゃなくてアイスランドへの旅行だったことでしょうか。賞金がないUKシーズンから来てるクイーンにはお駄賃弾んで欲しいぞ…!というわけでヴィクトリアさんおめでとうございました。

さてどんな選択をしたのかな、UK繋がりのヴァニティを残すのか、それとも今回のチャレンジの出来で判断するのか…とハラハラ見守っていたら、ブルックリンから「今回はお役御免でーす、二人とも残っていいよー」とお達しが出たのでとってもホッとしました。そうだよねアイシスが途中リタイアした分の穴があるから一回ダブルステイ使うなら今この瞬間が一番フェアだよね!と私も思います。良かった良かった。

 

次回アクティングチャレンジもこのメンバーで!(そう、アイシスのリタイアに加えてリップスティックでももう一人帰してしまうと台本を変えないといけないのでそういうわけにいかなかったということも悟りました)予告でラジャっちがちょっと不穏な気配だったのですが、s11でも台詞覚えに苦心していたなぁとか思い出してしまって…ハラハラしながら見守る感じの回になりそうな気がします。ついでにブルックリンも演技に苦労してたなぁとかも一緒に思い出してしまったので、ブルックリン先輩はそっち側の席でよかったね、と思いました(スナッチゲームに続いて)