あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

RuPaul’s Drag Race Season11 episode9“L.A.D.P.!”感想

この回、ミニチャレンジが"Reading is fundamental~"で毎シーズンおなじみ、各々のコンテスタントを上手に面白おかしくディスるリーディングチャレンジだったのだけど、本放送前にされた冒頭10分のチラ見せ配信時点でだいぶ波紋を呼んでいた。配信直後から私がtwitterでフォローさせていただいている方の何人かから怒りの声が上がっていて、制作会社に声を上げようという署名活動もあって、でも特に制作側からも、問題発言をした本人からも特にフォローなく…と、この回でフラストレーションがたまってS11自体が嫌になってしまった人もいたと思います。このミニチャレンジの件は一番最後にまとめて書きます…

メインチャレンジ

今回のメインチャレンジはL.A.D.P.…Los Angeles Drag Patrolというわけで、ペアになって警官コンビと即興でコメディをやるという課題。ミニチャレンジのリーディングで勝ったブルックがペア組み担当で、自身は即興コメディが得意なニーナを選び、あとはパーソナリティが濃い人と薄い人を組み合わせた、と言っていたのだけど、これがなかなか面白いケミストリーを生み出していた。

私はアケリアとイーヴィ組のトゥワークが一番好きで、僅差でブルックとニーナの公然猥褻、その次がシルキーとシュガの海賊版で、ヴァネッサとプラスティークのキャットファイトがワーストかな、という感じ!

海賊版…チャレンジとしてはもちろんやってること言ってること面白いところあるんだけど、シルキーが力技すぎて結構キツかった…シュガは頑張っていたと思うんだけど。シュガのお尻からアイロンが出てきたときに「これあんたの?」って聞かれて、「ううん、ホリデーインの!」って答えるところとか、やっぱり即興の能力の高さは感じるのだけど、あんまり人の話を聞いて対応して、って感じじゃなくて、自分が自分が!になってるところがちょっと苦手のかもしれない。でも私プロポーショナイズしてないシルキーの体リアルネス結構嫌いじゃなくて、バストが横に流れちゃってるのナチュラルでチャーミングで結構好き。見た目はだいぶ好きなんだよな…

公然猥褻…スターファイヤ・グラマゾンってすごい名前やな。とにかくブルック最高だったー!!最初はニーナがヌーディスト側をやる予定だったみたいだけど、ブルックが身体能力をよく活かせていたからこの配役で大正解だったと思う。あんな綺麗な顔で大真面目に裸で足ぱかーってされて常にモザイクかかってたらもう笑うしかない。特にレベル4ヴィーガンからのヨガがすごくおかしくて、こういうマイペースなヌーディスト居そうwっておもしろかった。戸惑うニーナの顔芸も素晴らしかったし、終わった後に不安な顔になっているのも愛おしすぎた。

キャットファイト組…ひどい…wwwひどいしか言えないwwwかわいいけどwwwだいたいファーファー言ってて話が読めなかったwもっと喧嘩の原因が何かとか、どうやって落ちを付けるとか、方向性を決めておいていたら違ったのかな。あとプラスティークの猫耳がすぐとれちゃったのが残念だった!後半ではウィッグもとれちゃうし…見た目大事…

トゥワーク組…まず見た目が二人ともかわいい!私はイーヴィのギャルっぽいのが大好き!ブリトニー教のときの改宗前も好きだったんだけど、フリフリのミニスカートはいてると脚の美しさが際立って最高なんだよね…
度胸と機転があるからいけると思ってたけど、アケリアに笑いの神が降臨してくれてよかった!感動の再会を果たして泣いてるところでもお尻プリプリしてるし、捕まったかと思ったらお母ちゃん娘犠牲にして逃げるし、本当におかしかった。ブルックが組み分けした時点では多分パーソナリティ濃=イーヴィ、薄=アケリアだったと思うんだけど、本当に弾けててよくやったと思う。収録時間帯の妙で、イーヴィがアケリアに「塀の中でトゥワークチームを組もうね…!」って呼びかけるところの太陽の感じが青春映画っぽくってまた素晴らしかった。感動した。

私が良かったと思うトゥワーク組は「実は二人は親子でした」、公然猥褻組は「最終的にヌーディストを通報したまともな隣人もときめいてしまう」という、一転した感じの落ちがちゃんとついているのだよね。残りの二組もそれがあればもう少し一辺倒な感じがなくて良かったのかなあと思う。

ランウェイの話

私はわりとパジェント!華やか!キラキラひらひら~!ショーガール!グラマーで女性らしい~!みたいな感じが好みなので、今回のフェイスキニのように顔が隠れちゃうチャレンジはストライクゾーンから外れているのだけど、重ねて見るとじわじわと良さが分かってきた。これ、S9の時のClub Kidランウェイの時も同じ感じだったのだけど、今はS9の中でもトップレベルで印象に残っているので、ちょっと自分の傾向が分かって面白かった。好みだったのはこだわりも伝わり、ファッション性も高かったニーナとシュガ!特にシュガは全体的にとても作りこまれていて、ボトム3に入っていたけどこのランウェイがあるから大丈夫!って自信持って言える素晴らしさだった。

シルキーが顔が隠れるからってリップだけ!って化粧せずダラダラしてるのは細部にこだわって欲しいからなんかちょっと嫌だった~!やっぱり見えないところでもちゃんとして欲しいし(見えない股間までピンクに塗らなくても良かったのではとはep3で思ったけど…)私は課題がうまくこなせたからどうせリップシンクするなんてことにはならないしーって慢心もよくない。批評を聞く耳がなければトップ4は無理よ!ってシュガさんが言ってたけど、ほんと常に気を抜かずに細部まで全力でいて欲しい。今までのシーズンでのウィナーでもある分野では秀でてもある分野では弱い、みたいな感じの人ももちろんいたけど、得意分野じゃなかったとしても(じゃないからこそ)必死にもがいてよくしようと見せる姿勢があるからこそ好きになって、応援する気持ちになれるんだけどなぁ。ミシェルがちゃんと気づいて指摘してくれたのが本当にありがたかった。
最後にバンジーがシルキーに殺虫剤かけてるの最高だったけどw

リップシンク組の話

ヴァネッサはミシェルも言ってた脚のシルエットと、足の甲が見えちゃってるのがもったいなかった!サイハイブーツとかのほうが良かったのでは…。でもリップシンクは衣装を活かしててヴァネッサに分があったかなぁと思う。髪の毛を振り回す表現、s5の時にココが袖をくるくる回して勝利した時のことを思い出した。曲もどちらかというと彼女向きだったと思っていて、前半の動きがいい感じでヒップホップでパキパキ音にハマっていて気持ち良かった。

プラスティークはよく頑張った!
ランウェイテーマを解釈し違えたのはとても大きかったけど、そしてまたレオタードだったけど、やっぱり毎回綺麗だしメイクも雰囲気変えてて素敵だった。 でもフェイスキニ~!!準備の段階で顔にかかるあの細い紐にホットグルーでレザーを貼り付けるとかしたらなんとかごまかせなかったのかな…?リップシンクもヴァネッサとは違う表現で、グラマーな感じもあり、ドラァグマザーのアリッサオマージュの要素も入れたりで、力強さもありつつ女性的な柔らかさにあふれていて素敵だった。

ところで、メインチャレンジのひどさは私もまったく否定できないのだけど、ミシェルのプラスティークへの批評は納得できない部分があって。アジアの訛りにまた逃げた!みたいにミシェルにも言われて、ビデオを見てるときにアケリアやシルキーもまたかよ、みたいな顔してたけど、見た感じわざとアジア訛りにしたわけではなくぽろっと出ちゃった感じで(そのあとまた普通の発音に戻っているので、本当に一瞬だったと思う)私は素の自分になったときにフッとなまりが出ちゃうのももう仕方ないことだと思うんだよね。 即興でやってるときに常に自分の発音にアジア訛りがないかとか意識できなくない…?それに頼るなってことなんだろうと思うけど、出ちゃうのは仕方なくない…?
s1のニナから始まり、数多くのプエルトリカン・クィーンが出ていて、チャレンジで英語力を心配されることはあっても、訛りがゆえにマイナスの批評されたことはなかった気がして。訛りに頼ることとアジアの誇りを大事にすることは違うでしょ、っていう批判も、そんなの自分でどうにかできないぽろっと出ちゃう訛りで言われるの的外れじゃない?って憤りを感じたのでした。

メルセデスのep2でのOpulenceの発音の件は最終的にmemeになって美味しくなったから結果的に笑って終われたけど、あんまりそういうのを批評の的にするの良くないよなぁ。私はドリームガールズあたりの南の方面の訛りの英語のほうが聴き取れんぞー!w

ミニチャレンジの話

さて、問題のリーディングについて。シルキーがベトナム出身のプラスティークを"Hayaku, Hayaku!" と日本語でディスったことで、アジアをひとくくりにしようとするのは敬意がたりないよ、と批判が起こりました。ここからしばらく、放送直後くらいにFusetterで書いていた文をそのまま転記します。

-----------ここから転記------------
まず私のスタンスとしては
・まず、差別発言は勿論良くない。身体的特徴だったり、国籍だったり、宗教だったり、その人が変えられない部分で人のことを馬鹿にするのはとても良くないことだと思う。
・でも誰しも心の中に多少なれ偏見や差別を飼っていてもおかしくないと思ってる。だから何を言おうとその人の人生だし別にその人の責任でいいんじゃないの?って思う。それによって嫌われたりすることも受け入れられれば。
・そしてリーディングチャレンジはルール無用でタブーを踏み越えて面白おかしくディスる場なんだろうと解釈してる。(面白くなかったけど…)
・とはいえ、公共放送でそれを放映するかどうかの判断をする編集側がきちんと線引きをするべきだったと思う。そのリーディングを放送することで傷つく人がいないか?差別を助長しないか?番組制作側がリテラシーを持って配慮すべきなんじゃないかなと思う。
・正直シルキーのプラスティークへ日本語を使って馬鹿にした件、私はTwitterでみんなが怒ってるのを見て、「あ、これは怒るべきところなんだ」って気づいたけど、一人でぼんやり見てたら見過ごしてたような気がする。そのくらいアジア人としてまとめられることに慣れていた気がする。でも、やっぱりそれは良くないことだっていうべきなんだよね。
・個人的にはシュガさんのソマリアネタのほうがやばかったと思う。難民の人が飢えているのを笑いにするのは富める者の傲慢以外何者でもない。そもそもイーヴィが痩せているのも本人ではどうしようもない病気由来かもしれないし。
・でももともとシルキーの態度に対して愉快でなく思っていて、元々自分の仲間だと思っていないクィーンに対して見下す態度が多すぎて不快に思っていた中での発言だったのでシルキーに対する不快感はマックス、シュガは元々好きな人なので「んもー!そういうこと言っちゃダメ!」程度の感情で済んでる自分にもダブスタを感じたりして…
・とにかくまずは番組制作側がもう少し配慮するべき問題なんじゃないかと思う。今回に限らず、宗教的なこととか、病気や怪我をしている人への対応とか、今シーズンは特に引っかかるところが多い気がする…
・そして、実際にリーディングが密室に留まらずオンエアされてしまって批判が集まったときに、居直ったり話をすり替えたりするのでなく、真摯に話を聞いて、傷ついた人がいることを受け入れて、謝ればいいだけの話なのに、それができないところがまた問題を大きくしていて…ソジュがとても頑張ってくれていて感謝しかないのだけど、学びとして受け止めて対応してくれればいいのに何故それができないのだろう…

基本的に坊主憎くても袈裟までは憎くない、というスタンスでいたいなぁと思ってるのだけど。やっぱり悪印象をもってしまうとどんどん応援できなくなっちゃうし、どうしてこの人が残ってるんだろう?って思っちゃうし、しんどいね。
別に人格者が優勝すべき、とは思わないし、人格だけで優勝されても納得いかないんだけど、応援したいと思う気持ちがなくなっていくのは悲しい。

-----------ここまで転記-----------

今もあんまり基本的には考え方は変わってないんだけど、まぁ仕方なかったのかな、という部分と、でもよくなかったよな、という部分と両方に広がった感じ。

仕方なかったのかな、という部分は、リーディングってもしかしたら笑点みたいな感じなのかな?と思って。笑点だと、例えばお客さんの多くが老人の方な中で、「帰りは気をつけて帰ってくださいね、お車呼んでくださいね、あ、ハイヤーじゃなくて霊柩車ですよ」って言ったとしても観客がどっと笑う、みたいな感じで、同様に多少ブラックな笑いでも許されるべき世界なのかな?みたいな感じで、ある程度見る側も許容することを求められているのかな、という感じで(とはいえ、昔は日本でも軽々しくテレビでやられていた黒塗りなんかも今じゃブラックフェイス問題としてできない状態になっているのだから、ダメなものはダメだといっていいとも思うのだけど)

でもよくなかったよな、の点は、結局twitterでシルキーに対して批判が集まったのを見てソジュが「これは差別というよりは学ぶ機会の問題だから」って諫めてくれて、twitterの場じゃなくリユニオンで話しましょ!って話になっていたのに、結局それがなされなかったこと。話題にしなかったのかもしれないし、もしかしたら話題になっていたのかもしれないけど、どのみち最終的にオンエアされなかったことで、話題にしなかったのならシルキーが、話題にしていたなら制作側はアジアの人は舐めてもいい存在なんだって思っていることが浮き彫りになった。そしてそうやって触れられないままシーズンが終わってシルキーが結局まったく一言も謝罪や弁解をせず終わってしまっている。

私の観測範囲の話ではあるけど、この回以前でも日本でのシルキーの印象はあまりよくなくて、でもこの回をもって決定的にシルキー無理!になった人が少なからずいて、そしてそれに加えてこのシーズン無理!になってしまった人も、RPDR自体ももう無理かも!になってしまった人もいる。それは本当にもったいないことで。一言でも何か、不快に感じたかもしれないアジア側に対して、謝罪のようなコメントがあったら違ったのにな、とずっと思っている…

今回untuckedでシルキーのビデオレターが来てたけど、諸々のもやもやでまったく入ってこなかった!!前回のスナッチゲームでの勝利も、制作側としては「シルキー面白いやろ、才能あるやろ、だから皆好きになるやろ!」って思ってたのかもしれないけど、視聴者側はいまいち白けてしまって乗り切れず、今回のフェイスキニの下のメイク適当事件と、アジア人にとってはリーディング事件で、だいぶ好感度が下がってしまっていて、せっさくのビデオレターなのにタイミングが良くなくて効果があんまりなかったんじゃないかと思う…。まあそれも本人が招いたことなんだけど…

同じuntuckedの前半、セーフ組がニーナとイーヴィで、二人で「ジャッジが言うのの10倍くらい私あなたのランウェイ好きよ」「私もあなたのドラァグ好きよ」って話し合いしてるのは最高だった~!!こういうのを見たいんだよ私は!毎回!前回ブルックとイーヴィがダブルセーフになった後もそうだけど、私は私の好きなクイーンが、私の好きなクイーンのすごさを認めて称えて、相手も認めて称え返すみたいなのが大好き!!ちゃんとお互いリスペクトしあえば世界は平和なんだよ…!!こういう感じだけで常に進むといいのにな、と心から思ったのでした…