あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

RuPaul’s Drag Race Season11 episode10“Dragracadabra”感想

今エピソードで披露されるニーナ率いるマイティ・タックスのマジックショーはSeason11屈指の名場面だと思っている。何度も何度も見返したけど、欠点が見つからない素晴らしいショーで、S11を見たことない人に10分だけ見せて紹介しろって言われたら迷わずにこのマジックショー(前半部)を選ぶと思う。だからこそこのエピソードの結末がとても辛くて辛くて…もちろん結果が納得できなかった回は今回だけじゃないけれど、初めて本編をリアルタイムで視聴して号泣したのでした…

ミニチャレンジ

ミニチャレンジはピットクルーの体と自分の体を合わせてボールを運んでゴールに入れろ!というもの。ピットクルーがいっぱい出てきて、s3に出場していて現在ルポールのウィッグを担当している、私の好きなデルタ・ワークスが一緒に出てきて嬉しかった〜!! プラスサイズクイーンの中でもトップレベルに可愛いお顔だと思うの!ゴージャスで包容力のある優しそうな感じが大好き!! 
ピットクルーと密着して皆がなんとなく嬉しそうなのがかわいかったし(個人的には目のやり場に困ってしまうのだけど…)ヴァネッサが一所懸命頑張って優勝して、例えミニチャレンジでも絶対に手を抜かないで、勝ったら心底喜んで!っていう真面目なところが本当に憎めないな〜と思ってとっても嬉しかった。今シーズンヴァネッサは下駄を履かされている感じがあって、評価的にはすっきりしないところはあるんだけど、彼女自身は常に全力なのがわかるから嫌いになれないし愛おしい。 

ヴァネッサといえば今回とても好きだったのが、この後メインステージの準備をしている中、「何かこのレースのことで過去を変えられるとしたらどうしたい?」ってシルキーに聞かれて「46着も水着を荷造りしない」って答えたところ!分かってるじゃん…w ヴァネッサはこういうところが本当可愛くて憎めないなぁ。

メインチャレンジ

マジックショーをプロデュースして!というのが今回のメインチャレンジ。ミニチャレンジで優勝したヴァネッサがチームを選ぶことになって、シルキー、アケリアと仲良しドリームガールズを選んだ後、もう一人イーヴィを選んで個性の強いチーム「ダ・黒魔術」が出来上がり、残りものチームであるニーナ・ブルック・シュガの「マイティ・タックス」との2チームに分かれてパフォーマンスする、という感じだった。ところで通常、こういう場合二人勝って一人ずつチームメンバーを取っていくパターンになるから、一人が延々とメンバーを選んでいく感じがちょっと不思議な感じがしませんでした…?

最初にも書いたけど、とにかくこのマイティ・タックスのパフォーマンスが良すぎて!!!このエピソードが公開された後しばらくずーっとリピートして見てた。 いや…もう…最高じゃない…?文句言うところなくない…? 三人とも最高じゃない??導入から引き込み、中だるみもせずずっとマジックで楽しませ、最後まで本当ずっとすばらしい世界観に引き込まれてた!!メインの人がマジックを披露してる間も残りの二人が動きを揃えて盛り上げたり(シュガさんのマジックの前にブルックとニーナがステップ踏んでるの可愛すぎた!!)ドラァグレースのお約束memeを盛り込んだり、ちょっとした動きや表情も大仰だけど魅力的で、とてもとても素晴らしかった! 脚本を書いた名プロデューサー・ニーナは普段からショーを作っているのでその本領発揮、という感じで、皆その実力に納得したはず。本当このマジックショーだけでお金取れる。課金したい。このシーズンの最高パフォーマンスのうちの一つだと思う。はぁ最高…もっともっとニーナのショーが見たいよう…
最後にmagic…magic…って去ってるところでミシェルが一緒にやってたの嬉しかったし、私も一緒にやったw こういう決めセリフやポーズがしっかり決まってたのも安心感があったなぁ。

対する後攻、ダ・黒魔術は、すごく悪かったわけではないんだけど、やっぱり全体としての統一感や一体感にかけていたのがとてもとても気になった。進行の中で人と人が掛け合いのように会話するところでもいまいち話がかみ合ってなかったりして、即興で各自で進めようとしている分、全体として練られてないのが良く分かったし、服装もマイティ・タックスは色味が揃ってるおかげで統一感がある感じがしたけど、ダ・黒魔術は衣装も統一感がなくてバラバラな感じがした。

ヴァネッサはチームを組むことになって、自分が仲良くて、個性もあって「一人一人が強い」ドリームガールズ+それに個性で負けないイーヴィでのチームにすることにしたみたいだけど、相手のチーム…全体としては「考えすぎ」「個性は弱め?」だけど、「最強の脚本演出家(ニーナ)」、「協調性のある頑張りやさん(シュガ)」、「ちょっとわがままなところあるけど大きい舞台でのパフォーマンスに慣れてるダンサー(ブルック)」の組み合わせに及ばなかったんだろうなぁと思う。ヴァネッサがリーダーとしてもっと方向性を決めていたらどうなってたんだろう?とか、イーヴィを選ばずドリームガールズ3人で完結させることにして、もっと即興重視だったらどんな運命だったんだろう…?とか思いを馳せたりした。

あとシルキーがマジックの練習中、自分のチームがレクチャーされてないときに居眠りしたりとか、本当よくないよね~!!前回のフェイスキニの下のメイク手抜き事件や、何回かあった衣装の下から下着見えている事件とか、今回もパフォーマンスはいいけど衣装がくしゃくしゃ・パッドが見えてるとか、そういうところが重なってどんどんもやもやするのだった…ミニチャレンジでも全力なヴァネッサを愛おしく思うのと逆のベクトルで、何かが秀でていたとしても、それ以外をないがしろにするところ良くないぞ~と思う。

ランウェイ

ランウェイのテーマはカフタンで、s5のハニー・マホガニーが着ていた定番の形(着すぎてて見飽きた!って言われていた)だけどあんまりランウェイでみない形だから少し新鮮だった。イーヴィの黄色いモンク・リアルネスと、ブルックの紫と金色の冠位が高そうな感じの色味のカフタンが好みだった~!シルキーも悪くなかったと思うんだけど、ミシェルにつけまつげが真ん中だけなのが変だって指摘されててなるほどなぁと思った(アミダラ感というか、リップやまつげを真ん中だけつけるのもアジアンテイストでありかなぁと思ったんだけど)アケリアは明らかにカフタンではなかったけど、なんだかんだで綺麗だね、ってなってて、パジェントの人は見せ方が強いよなぁ…と思ったのでありました。

リップシンク

メインチャレンジとランウェイを加味して、ボトム2がヴァネッサとシュガ、ということになったのだけど。シュガそんなに悪かったか〜???何度見ても納得できない!!今シーズンここまでもジャッジと気が合わないことがたくさんあったけど、本当にこの回が一番許容できなかった。マイティ・タックス最高だったでしょ…?ダ・黒魔術もチームとしてしくじったというほどじゃなかったかもしれないけど、全体としての調和と完成度は比べ物にならなくて、チームとしての差は歴然なんだから、今回はチームで評価して、マイティ・タックス全員残しにするところじゃないの…!?

パフォーマンスでのシュガの落ち度があるとすると、自分がメインでやるマジックの時、ブルックがぱかーって逆立ち開脚してたからそっちに目がいっちゃう感じはあったかもしれないけど… でもそんなにずば抜けて悪かったとは思わなかった。ランウェイもはっちゃけたマダム感あって私はどんどん脱いでいくの可愛いと思ったんだけど…!

個人的な評価だと
ニーナ…パフォーマンス10点、ランウェイ8点(演出力で追加加点でウィナー)
ブルック…パフォ9点、ランウェイ9点
シュガ…パフォ8点、ランウェイ8点
バンジー…パフォ7点、ランウェイ8点
シルキー…パフォ7点、ランウェイ8点
アケリア…パフォ8点、ランウェイ7点 (カフタンじゃないから)
イーヴィー…パフォ7点、ランウェイ9点
という感じで、ドリームガールズのうち二人がボトム…って感じだった。ドリームガールズのドリーム対決でリップシンクしてほしかった。推しメンだけどアケリアがリップシンクでも許容できた(勝ってくれると信じていた)シュガはどう考えてもセーフでしょ…!?

今までの実績とかそういうのを加味して、2勝してるシルキーとアケリアを残して一勝もしてないヴァネッサとシュガの二人をボトムにしたのかもしれない。でもそうやって過去の成績を加味するならもっと前、一勝してるスカーレットがボトムになったときにそうすべきだったんじゃない…?

そしてこのシーズン、ヴァネッサとかシルキーとか、明らかにジャッジの判定が甘い人がいて、そのお気に入り枠の人がボトムに来ると、あーーーもうこっち勝たせる気なんでしょ…って思ってしまってリップシンクを見る前からしんどくなってしまう。シュガはあんまり主役でバーン!って出るタイプではなくて、ヴァネッサやシルキーはバーン!って注目さらっていくタイプで、後者の方が番組がネクスドラァグスーパースターとして求めてる姿に近いんだろうなぁとは思うんだけど…でもそうやってパーソナリティで勝負決めるなら毎回チャレンジやる必要なくない…? 今回、リップシンクもそんなに差がなかったと思っていて、だからジャッジが「番組的においしい方」を残したんだと思っている。私はなんでもかんでも衣装をぼいぼい脱いでいくのがそんなに好みじゃないからヴァネッサのがよく思えなかったバイアスがあるのかもしれないけど…シュガのリップシンクの時にしまぱんがチラ見えしたのがジャッジ的にダメだったのかな…熟女しまぱんかわいいと思うんだけど…(水着です)

正直、キャリア浅い・最年長のシュガがTOP7まで残ると誰が最初予想してた?始まる前、すぐ帰るんじゃないの~?みたいに割と応援する人少なかったように感じてたし、有力候補として見られてなかったと思う。そう思うと充分善戦したと思うし、今回の出演はこれからの彼女のキャリアに良い影響しかないと思うし、みんな彼女を大好きになったと思うし、得られたものはたくさんあったと思うんだけど、あーんでも悲しい!!! 今までも放送を見ていてやだ泣いた〜みたいなことはなくはなかったけど、今回はとにかく悲しすぎて、飲み込めなくて、放送を見ながらリアルに号泣してしまった。 嗚咽ですよ嗚咽。

本当に今回出場したこと、ここまで残ったことはシュガにとって財産でしかないと思うし、世界中にファンが増えたと思うから、もっともっと活躍してほしい。シュガが頑張ってるの見て、挑戦することに年齢は関係ないし、勇気をもって新しい世界に飛び込むことの素晴らしさ、どんなときでも穏やかに(時に毒はあれども人を責めず)人と接することの大事さ、全力で与えられた境遇を楽しんで経験として吸収していくことの大切さを思い出したので、私は本当に感謝してる。s11のクイーン、好きな人いっぱいだけど、シュガはその中でも特別枠の一人です。私だけでなく勇気をもらった人がいっぱいいるはず!

untucked

ニーナがマジックショーの構成で褒められ、アケリアがいつも綺麗ね〜って褒められ、シュガが評価は良くなかったかもしれないけど、よく頑張ってたよ、ちゃんと素敵だったよって褒められ…の流れが嬉しかった。そう、私はクイーンがほかのクイーンの良さを認めて褒めあうみたいなのが大好き人間。ここのところ毎回言ってますね。リスペクトが見えてとても好きなのです。そうやって相手を認めることが自分を高めるモチベーションにもつながるんじゃないかなぁと思うんだけど…どうでしょう。

今回またイーヴィが脚本を自分が一番頑張った、って言って、ヴァネッサが私だって書いたし、って言って微妙な空気になった中、アケリアがなんとなく仲裁してくれて、前回の二人のバトルみたいな感じにならなくてとても助かった(前回はアケリアがボトム確信しててリップシンクの準備で仲裁するどころじゃなかった)。個人的には、イーヴィはいつも他の人が言い訳のようなことをするとプンプン怒ってるのに、自分の自己弁護は頑張るんだとそりゃ他の人もいい気持ちしないよね…という感じで、イーヴィはもっと他の人のことも許してあげたらいいのになぁ、と思った。でも本当前みたいにギスギスしなくてよかった…こういうときのアケリアはわりと分析力というか客観力?俯瞰力?みたいなのがあって、変なバイアスがかかってなければ場の調停をしてくれていいなぁと思うのでした。このあとブルック宛にお母さんからビデオレターが来て、珍しく泣いてしまったブルックに涙をこのカフタンで拭きなはれ…って出してるのも姉御感があって好きだった。

そう、ブルックのビデオレターの部分だけを切り出したものがTwitterでバズっててびっくりした!

ドラァグレースを知らない人もいっぱい見てくれたと思うし嬉しかったなぁ。ブルックのお母さん、本当にいいこと言うね。私も男児の母なので色々考えさせられるところがあった。この先何かがあった時、なんでも愛してるから受け入れられるって素直に思えたり、親が子供を導くのではなく、子供が親を導いてくれるって感じられるといいなぁ…すごく学びがあるいいビデオレターだったし、弱みを見せたがらないブルックもさすがに泣いてしまっていてグッときた。

ずっとパーソナリティが見えないとか、もっと弱い部分…vulnerabilityを見せろ、とか言われているブルックにとっても意味があったと思うんだよね。最後までブルックは私にとってはちょっとつかみどころのない人ではあったのだけど、綺麗なだけじゃなくて親しみがある感じが生まれて、このuntuckedの姿は思い出すたびにほっこりするのでした。