あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Canada's Drag Race Season2 episode8"Prom"感想〜

今週はメイクオーバーチャレンジ!!元は毎シーズン後半のお決まりチャレンジなのですが、コロナ禍のせいで人を招きにくいため、わりとレアなチャレンジになってきていて…なんだかちょっぴり久しぶりのような気がしますが、ハートウォーミングな触れ合いがあるこのチャレンジ、毎回のように泣かされてしまい、もちろん今回も例外ではありませんでした。カナダは昨シーズンの難民としてカナダに渡ってきた人たちのメイクオーバーもとても良かったのですが、今シーズンは2SLGBTQIA+の高校生を招いてドラァグファミリーとして迎えてプロムに送り出す!という企画で、とてもとても良かったです。

 

 

 

 

 

I'm watching Prom on WOW Presents Plus http://www.wowpresentsplus.com/videos/cdr2-prom

 

 

 

 

 

 


メイクオーバーに入る前に、各コンテスタントがお母様やパートナーの方とテレビ電話で会話をするというご褒美コーナーがありました。もうこの時点でコンテスタントたちもみんな涙涙で、私も涙腺がやばくて…会話を始める前から泣いてしまったりとか、話してる本人だけでなくて周りのクイーンも泣いてしまったりとか、とにかく撮影のために隔離されて気を張り詰めて過ごしていたコンテスタントたちへのご褒美の、オアシスのような、本当に心温まる時間でした。例え数分だとしても、自分の愛する人の顔が見られて、そして実際に対話できることがどれだけ力になることかと思います。個人的にはいつものビデオレターよりもお互いの反応が見える分、より心に届いてるのかな、と感じました。


さて可愛い高校生たちをメイクオーバーするメインチャレンジ。会話の中で、この子はトランスなんだ、この子はノンバイナリなんだ、みたいななんとなくの推測はできるのですが、個別の細かい自己紹介みたいなのがなかったのが「別に自分の立ち位置をカテゴライズしなくてもいいし、ドラァグの門戸は誰にでも開かれている」と言っているようで、私はとても好きでした。そして各コンテスタントがきちんと対話して、どうなりたいか、というのを引き出してあげていたのが本当に良かったです。どうしてもTOP5まで来ると、当たり前のようにみんな残りたいだろうし、勝つための戦略だったり打ち出したい自分の得意分野があったりするじゃないですか。でもそれを強制するのではなくて、主題はプロムだから主役は自分ではなく子どものほうだと理解して、きちんとパートナーが居心地がいいように、自信を持って歩けるようにということを意識していた結果、とても暖かくて豊かな空間になっていたと思います。

また何人かのコンテスタントたちが、自分が高校生の時は辛かった、という話を吐露して、だから今高校生のあなたたちを支えたい、という立場でいてくれたのがなんというか、本当に救いのようでした。死んでしまおうとすら思っていたアイシスや、その歳の時はとても辛かったと語ったピスィア、これは想像に過ぎないけれど、自分が辛かった高校生の時にいて欲しかった、支えとなる存在に自分がなるんだ、というような気持ちが伝わるような気がして、実際に今隣にいるパートナーだけでなく、番組を見ているティーンエイジャーが、自分にもこういう人がどこかにいるのかもしれない、と希望のように感じるのではと感じました。やっぱりさ、ドラァグレースはさ、コンペティションだから争いやドラマもたくさんあるけどさ、人に希望や勇気や救いを与える番組としての立ち位置を忘れないでほしいんだよね…!こういう人に寄り添ってくれるようなエピソードがあると、私も頑張ろう、一歩ずつでも良き人になろう、と改めて思います。


今回のジャッジは重視するポイントが「二人の関係性がルックとプレゼンテーションから伝わるかどうか」というのが明確だったのがとても良かったです。正直みんな良くて、特にメイクの腕前は全員、文句がまったくつけられないくらいでした。衣装だけで判断したらまたちょっと評価が変わるかなと思うのです、アイシスのパートナーの衣装はお店で売れるレベルだと思いますし、逆にケンダルのパートナーの衣装は裏側やスリットの部分の処理が少し気になったりして。でもやっぱりパッと見てファミリーだって分かるかどうかの部分で判断すると、納得のいくジャッジングだなぁと思います。

ウィナーになったピスィアはルックもメイクもファミリー感の演出も良かったのですが、それ以上に相手と自分のやりたいこと、「ジェンダーの壁を取り払う」ということを本当にうまく打ち出していて。もしかしたらルポール傘下だったらパンツスーツも、パートナーに髭を描くことも尊重されなかったかもしれないなぁと思うのですよ、でもカナダでこれを評価してくれたことで、ドラァグといえばグラマーな胸、砂時計のようなライン、盛った髪…というようなよくある形にはまることに拘らなくてよくて、どんな表現でも許されるし、そこに性別のカテゴリーは必要ないということを尊重してくれているように見えて、本当に勇気が出ました。「どんな体型でも、どんなサイズでも、どんな性別でもドラァグはできる」っていうジャッジング中のブルックの言葉をきちんと裏付けてくれるような評価で、どれだけこの番組を見ている人たちに希望を与えたことか!毎週本当にカナダs2は楽しいなぁと思って見ていますが、このエピソードがさらにシーズンの価値を高めたと思います。


リップシンクも本当良かった〜、本当シーズン次第ではここでダブルステイが出てもいいレベルの良いリップシンクだったと思います。ご存知、私のかわい子ちゃんとして毎週キャーキャー言っていたアドリアナちゃんが今週帰ることになってしまったのですが、でも本当にここまで、TOP5まで残って立派だったし、今回もパートナーを自信たっぷりの笑顔で歩かせることができただけで満点だし、ここで帰って残念だなという気持ちも勿論ありますが、それ以上にここまでの道のりを誇らしく思えて、たくさん素敵なものを見せてくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。


本当にいいエピソードだった!終わった後も、この布がいい!ってピンクの布を抱きしめるアドリアナのパートナーの表情や、メイクが出来上がって息を呑むケンダルのパートナーの表情を何度も思い出しては胸がギュッとします。本当にこういう、人がときめきを見つけた瞬間みたいなのを見せてもらえるの、とても豊かなことだなぁ。

f:id:akzkiss:20211210004006j:image


さて次回はリユニオン…えっここでリユニオン?昨シーズンではやっていなかったし、普通に次回もチャレンジをやって4人から3人に絞ると思っていたのでちょっとびっくりしています。もしかしたら脱落クイーンたちが3人に絞るのに寄与するみたいな匂わせ方をしているので、何かひねりがあるのかな?と思うのですが、ひとまず賑やかなのは純粋に楽しい、みんな好きだから戻ってきてくれて嬉しい、という感じで楽しみにしています。