あきづきのドラァグレースブログ

ル・ポールのドラァグレースの感想をつれづれ書いています。ネタバレあり。

Drag Race France Season1 episode8 "Grand Finale"感想

お待たせしました、フランスのフィナーレの感想ブログです。英語圏のものは一回見てからブログを書きながら要所要所をさらっと見返せばなんとかなる、と言う感じなのですが、英語以外のシリーズはやはり読み取るのに時間がかかるもので…今回は1回目を義実家で細切れに見ていたので2回目はなるべく集中して見たかったことと、義実家から戻った途端コロナにかかってしまったので見返せるコンディションになるまで時間がかかったことと、シーズン中気持ちに整理がつかなかった部分があって見返すのに心のハードルがあったことなど、色々あって遅くなってしまいました。でも、自分の中で完走したぞ!と一応でもピリオドを打つことがすっきりするための第一歩だよなとも思っています。まだ消化できていない部分も多々あるのですが、ここで一旦文章に残します。

 

 

 

 

 

 

 

I'm watching Grand Finale - France Season 1 on WOW Presents Plus
http://www.wowpresentsplus.com/videos/drf-108

 

 

 

 

 

 

 

良いフィナーレ回でしたね…!最終回はやはり定番チャレンジのルポールの曲に合わせたパフォーマンスで、今回はCat walkというちょっとチルい感じの曲だったこともあり落ち着いて見ることができました。パロマさんが終始振り付けに対してビビっている感じでしたが(もともとの苦手意識もあり、ガールグループチャレンジでボトムになってしまったこともあり…)よく頑張っていたと思います。衣装選択がちょっと意外だった、90年代前半のトレンディドラマのOLさんみたいで可愛かった。こういうパフォーマンスではやはりソアさんの空間掌握力が素晴らしくて華があるなぁと感じたのと、グランダムさんの衣装の胸元が開いているのが最高のレフ板効果になってパッと顔に目線が集まる感じになっていたのが素敵だと思いました。歌詞が字幕で出てくれなかったのが残念!ちなみに一番好きなのがソアさんとグランダムさんが左右にひょこっと体を倒した間からパロマさんがニョキッと生えてくるところです。リハの時から可愛すぎた。


ファイナルランウェイ衣装も三人とも素晴らしかった…エントランスの時もハートのクイーン(もしくはセクシーすぎるドキンちゃん)のようなルックだったなぁと思い出させてくれる真紅のガウンのパロマさん、ペイスティだけの胸元にレザーのスカート、そしてヌーディカラーのビーズのネックレス…と自然に近い自分の美しさを全面に出したソアさん、高級感ある光沢が美しいガウンで最後までハイファッションを見せてくれたグランダムさん、それぞれが自分のブランドをよく理解して、一番自分らしさが出せるような衣装を最後に持ってきてくれたなぁと思いました。

最終エピソードらしく、それぞれがこの番組に至るまでの道のりだったり、この番組に出て得られたものだったりを語ってくれて、よりそれぞれの優勝に向けた想いが理解できたのも良かったです。パロマさんはインポスター症候群(自分の実力や達成したことを自分で認められず、自己肯定感に結びつかず過小評価してしまう)の話をしてくれたのが、番組で見せてくれた謙虚なところや、少し完璧主義のように見えることとつながるような気がしました。ソアさんの前のエピソードでも話していて印象的だった亡くなられたご友人のお話も胸を打ちました。でも私には一番グランダムさんのお母様との話が一番重かった…シングルマザーで育ててくれたものの、上手く関係が築けず14歳の時に離れて里親のところで育ち、やっと近年7年ぶりに会えて今は良好な関係をまた築き始めているけれど「私の小さい子はどこかに行ってしまった、再会したらすっかり大人ね」と言われて、あの時の小さな子どもはどうやっても返してあげられない…とステージ上で涙を浮かべる姿、自分の事だったら…と母親しぐさで想像してしまって本当に心が痛かったです。もうどうしようもないことなんだけど、少しでもここから空白を埋められるといいな…


フィナーレのランウェイ、ちゃんと全員勢揃いしてくれて嬉しかった、フランスならやってくれると信じていた!久しぶりの人も、惜しくもファイナル進出を逃して帰ったばかりの人も、集合してくれて本当に嬉しかったです。シーズンの終わりに再結成するの、どのシーズンも必須事項にして欲しい。

もっとルックが見たかった!と思っていたカヘナさんはep1のクールなルックと打って変わったフェミニンなルックで、リビールまでしてくれてサービス満点。オールドスクールな魅力のロヴァさんはエレガントなガウンで安心感がありました。ブリオッシュちゃんはコミカルなブードゥー人形風で、このシーズンにキャンピィなスタイルを持ってくるクイーンが居てくれて良かったと実感。ヌーディなピーチ色のドレスのカムちゃんは相変わらず百点満点のスタイリングで、ワントーンでまとめるのが本当に上手だなぁと惚れ惚れしました。エリプスはボールチャレンジで作った衣装を思い出させるような袖にボリュームのある形のパンツスタイルで、あえてのウィッグなしスタイルが格好いい。ビッグベルタさんはリビールしたと思いきや身体中にお肉の部位が書いてある衣装で、セクシーとコミカルを同時に見せてくれるところにキャラクターが出ていて素敵でした。最後、ロリータバナナちゃんがジャッジに要求されていた「メキシコとフランスの融合のようなものが見たかった」というのを具現化するかのようなドレスで出てきてくれて、このドレスをファイナリストとして着せてあげたかったなってちょっと泣きそうになってしまった…

ミスコンジニアリティはワークルームを明るくしてくれたベルタさんか、とにかく寄り添いたい気持ちにさせてくれたロリータバナナちゃんか…などと考えながら発表を待っていたらエリプスの名前が呼ばれて、一瞬あら!と思った後にすぐに納得に変わりました。そうだそうだ、エリプスはボールチャレンジの時に色々な人のお裁縫を手伝ってあげてたもんね。みんなでワークルームに入ってくる時やニッキーコールをしていたときも率先して盛り上げていたので、ムードメーカー的な部分もあったんだろうなぁと思います。こうやって仲間に評価してもらえるの嬉しいなぁ、おめでとうエリプス。


さてウィナーの話です。正直メインチャレンジのパフォーマンスでは少し後手にまわっていたかもしれないパロマさんですが、最後のリップシンクは一番気合が入っていたような気がします。もちろん伸び伸びと踊るソアさんやグランダムちゃんも最高に良かったですが、曲の出だしでパロマさんが映った時にその眼差しと手の表情に釘付けになってしまい、そこから目が離せなかった…リビールや小道具もとても効果的に使っていたと思います。シーズン通しての評価としても勝者に値すると思っていたし、このリップシンクで完全につかんだな、と感じました。もちろん山だけでなく谷もある道のりでしたが、エントランスの時点でただならぬ強さを感じていたパロマさん、どのチャレンジもどのランウェイも大きい穴なく安定していたのが強さだなぁと思います。すごく素敵なフランスの初代王者!おめでとう、パロマさん。


そしてこのシーズンを締めくくる最後の瞬間が、戴冠したパロマさんが一人で去っていくところでなく、ホストのニッキーと肩を並べて去っていくところ、というのがまたグッと来ました。本当に素晴らしいホストだった…!今までのフランチャイズと比べても、一番コンテスタントとの心の距離が近かったのではないかと思います。ニッキーがリスペクトを持ってコンテスタントたちに寄り添ってくれたことでどれだけ救われたんだろう、なんて想像してしまう。ジャッジングもこき下ろしたりするのでなく、建設的な意見が多く、見ていてしんどくなることもあまりなく、とても安心して見られました。コンテスタントの皆の活躍や成長が見られたのも勿論楽しかったけれど、s12で言葉の壁で苦しんだニッキーが伸び伸びとフランス語で場を回して、堂々とホストとして立っているのを見られたのも本当に幸せでした。ルックも毎回最高だったしね…!


と、そんな感じで全体的に素晴らしいフィナーレ、素晴らしいシーズンだったと思うのですが、心にどうしても大きな棘が残ってしまったフランスのs1でした…そう、ロリータバナナちゃん問題です。ep4で孤独感の話、ep5でHIVのカミングアウト、ep6で例のリップシンク、ep7の奮闘と超えられない壁…と、私のハートを持っていってしまった。本当に、ここまで色々なことを考えさせられるとは思ってなかったです。

各国フランチャイズが乱立してきてる中で、あまり「その国らしい王者が欲しいんだな」みたいなことを意識したことって実は少なくて。ルポール先生が最初にアメリカから飛び出したイギリスのs1の時は思ってた気がするんですが、でもその後、カナダとかオランダとかで移民のクイーンが自国の文化を取り入れつつも、そのことが差し障ることなく王座についたことで、どこ出身とかそういうことは関係なくその場で一番相応しかった人が勝つよね、みたいな考え方に自然となっていたのです。でも今シーズンは各国フランチャイズの中で初めてに近いくらい、「フランスらしくなきゃダメなのかな?」みたいなことを重く意識させられた気がします。それこそep1時点でチュジニアから来たイスラム文化を伝えるクイーンが評価されなかったり、ep1からずっとロリータバナナちゃんが何度よいパフォーマンスを見せても評価に結びつかなかったりするところを見て、とても歯痒かったし、このシーズンは移民のクイーンは活躍が難しいのかなって思わせてしまった時点で、ロリータバナナちゃんの感じていた「壁」は打ち破れないよなぁ、そりゃ精神的に追い込まれてしまうよな…と。来シーズンがあるのであれば、こんな思いをするクイーンが出ませんようにと願うばかりです。


これからツアーで各地をまわるということなので、どうか怪我なく、トラブルなく、皆が素晴らしいパフォーマンスをたくさんの人に届けて、素晴らしい思いができますように。全員頑張ったのは紛れもない真実だと思うので、それが報われる瞬間がたくさんありますように、と願うばかりです。シーズンを見返すにはもう少し気力が必要だけど、でも素晴らしいクイーンたちの今後の活躍は本当に楽しみです。すごく記憶に残るシーズンになりました。